Teddy Bear -F.T-

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テレビの中で何度も目にした。




病院のベッドの上で、抗がん剤とか、放射線とか、辛そうに治療を受ける白血病患者の姿。




実際どんな症状なのかとか、詳しい治療法とかなんて何も知らなかった。













「……白血病、」













太輔が白血病？













意味がわからなかった。




だって私といた時の太輔は元気だったじゃない、って。




目の前で涙を流す太輔のお母さんに怒りを覚えるほど、私は混乱していたんだと思う。











あの時の私はきっと、現実から目を逸らそうとしていたんだ。















「ガラス越しだけど、会ってあげてくれる…？」












そう言って歩き出すお母さんを追いかけることが出来なくて。




さっきまであんなに会いたかった、大好きな太輔…











あなたに会うことが怖くなってたんだ。













「…Aちゃん、」












俯く私の元に戻ってきたお母さんは、私の手を握ってこう言った。












「…太輔ね、今たくさん頑張ってるの。強力な抗がん剤治療で免疫が落ちてるから、無菌室で隔離されてるんだけど……、あと、髪もほとんど抜けちゃってね…、親バカかもだけど、坊主でも結構イケてるのよ、あの子。…ふふっ」













太輔の笑顔を見てるようだった。




ふいに見せたお母さんの笑顔は、私の強張った表情を溶かし、心までをも暖かくしたんだ。















「…ここよ、」













案内されたその部屋。




近づくガラスの向こうに見える、白いベッドと白い布団。




繋がる点滴の管と、透明のカーテンのようなもの。













その向こうに見えたのは、少し痩せたあなたの横たわる姿だった。






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