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そいつは嬉しそうに、ここに来たことを語った。
だがそれは、俺にとってはあまりいいことではなかった。
確かに俺はあの時、こいつと約束をした。
しかし、それは、俺がわざわざ死に場所を教えたようなもんだ。
……何故かは分からねぇが、こいつには生きていてほしい。
だがそんなことを言ってしまったら、何か取り返しのつかないことになるような気がした。
……そんな俺の小さなプライドで、あいつを突き放してしまった。
＊
くそ……資料が終わらねぇ。
ここ数日、あまり寝ていないせいもあるが……
何故か……あいつの顔が頭から離れない。
名前も知らねぇ女に、俺はどれだけ振り回されてるんだ。
コンコン
……こんな時に限って誰だ。
だが、顔を見る前に怒ってもしょうがない。
「……入れ。」
ガチャッ……
「やぁ……お邪魔するよ。」
なんだ……クソメガネか……
少しだけ、期待してしまった自分がいた。
「お前がノックして入るなんて珍しいな。明日は槍でも降るのか？」
……期待していたが、あいつがここに来るわけがない。
それにしても何の用でメガネはここに来たんだ。
「……リヴァイさ……今日の黒髪の訓練兵の子、ちょっと気なってるんじゃない？」
ハンジは、俺が考えていることはお見通し、というように言った。
正直、驚いたが、あくまでも平常心でいることにした。
「……なぜ、そう思う？」
「何故って………リヴァイ、気付いてないの？
ずっとAのこと見てたじゃん。」
「！……あいつ、Aっていうのか。」
「知らなかったのかい！？」
ハンジが溜め息をついて何か言っていたが、全く気にならなかった。
あいつ……
Aっていうのか……
こんなに俺が他人に興味を持つことは珍しく、自分自身でも驚いていた。
「リヴァイ、聞いてる？…………聞いてないんだね…
まぁ、とにかく！気になるなら早めに行動した方がいいよ〜？」
そう言って、ハンジは部屋を出ていった。
…こんなこと話に来るなんて、あいつも暇人だな。
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作者名：ハーリカ | 作成日時：2017年9月8日 23時
