8 ページ8
ar side
「ありがとな、」
『うん、たぶんこれで全部だと思うよ』
涼介の部屋に置いてあった私物を手に、玄関で靴を履いた。
『…あのさ、大ちゃん』
「うん?」
『1つだけ聞いてもいい?』
「うん、なに?」
靴を履き終えて顔を上げると、涼介がさっきとは違って深刻な顔をしていた。
『うまくいってるの?』
「え?」
『その………好きな人とは…うまくいってる?』
「……え?」
『………』
「……いってるよ…」
なんでそんなこと…
『………』
「涼介?」
『……よかったぁ!大ちゃんが幸せそうで、』
涼介は笑顔を浮かべて見せた。
「涼介…」
『ほら、早く帰んなよ!よく考えたら今日クリスマスじゃん?これから会う予定とかあるんじゃないの?ね、』
「涼介、」
『………なに?』
「手……離してくれないと帰れないよ…」
必死で話す涼介は、無意識なのかずっと俺のコートを握りしめていた。
145人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:Tea time | 作成日時:2021年10月13日 11時