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23.デート ページ23

「Aっち、このバッシュどう思う?」
「いいと思います」
「ねぇテキトー」

昨日のことが嘘みたいに、今日の黄瀬くんはびっくりするくらいいつも通りだ。まぁ、別に覚えてても良いことないし、わたしも気にしないようにしようかな。最新のバッシュを目の前に、隣りでニコニコしている黄瀬くんを見ながらそんなことを考えていると、突然後ろから、あのすみません、と話しかけてくる声が聞こえた。

「あの女の子たち、知り合い?」

振り向くと近くに立っていた、同じ年くらいの二人組のお洒落な女の子たち。わたしの質問に小さく首を横に振った黄瀬くんは、爽やかな笑みを浮かべながらその子たちに向かってヒラヒラと手を振る。それから聞こえてきた「お仕事頑張ってください」という言葉に、あぁファンなのかと納得した。

満足したらしく、女の子たちが去っていったのを確認してから棚に視線を戻そうとしたとき、今度は遠くの方から聞こえてくる別な高い声に黄瀬くんがピクリと反応したのがわかった。

「......黄瀬くん?」
「あー...お腹空いたっス」
「え...お腹が、空いた?」
「ごめんAっち!何か食べていい?」

チラチラと後ろをみる仕草を見せたことから、多分ファンの子たちから逃げたいのかなと推測する。学校で待ち伏せしてるファンの集団に囲まれているのを何度か見たことあるし、さすがにプライベートはそっとして欲しいのかもしれない。

だからカフェに行きたいという提案に二つ返事で了承すると、お礼を言ってからすぐさま歩き出した大きな背中を追いかける。後ろから悔しそうな声が聞こえたけど、わたしは男の子用のブレザーを着てるし、黄瀬くんが女の子といると騒がれることはないはずだ。

「確か食べもの系って五階だっけ?エスカレーターで行く?」
「エレベーターの方が早いと思う」
「じゃあ、そうしよ」

そう言って、嬉しそうに笑いながら隣りを歩く黄瀬くんを見上げる。なんか、こういうの...

「デートみたいっスね!」
「えっ!あ、うん、そうだね」

あれ、Aっち顔赤くない?、とからかうように突っついてくる手を掴んで黄瀬くんの頰に押し付ければ、なおさら楽しそうに笑ってくる。その笑い方があまりにも子供みたいで、わたしもつられて笑ってしまった。

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設定タグ:黒バス , 黄瀬涼太 , 恋愛   
作品ジャンル:アニメ
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(プロフ) - たくっちさん» コメントありがとうございます〜!! そう言っていただけると嬉しいです! ほんとにありがとうございます!! (2015年12月29日 22時) (レス) id: 6bc2673fc1 (このIDを非表示/違反報告)
たくっち - めっちゃ良い話じゃないですか。感動しました!これからも感動するような作品よろしくお願いします。応援してます! (2015年12月27日 18時) (レス) id: 14821b434b (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - 朱いメダカ@ペンタブ禁止令さん» コメントありがとうございます^ ^ そういっていただけると、すごく嬉しいです〜!! ありがとうございます! (2015年5月12日 0時) (レス) id: 6bc2673fc1 (このIDを非表示/違反報告)
朱いメダカ@ペンタブ禁止令(プロフ) - 今日読み始めて一気に最後まで読んでしまいました!!凄くキュンキュンして泣けて…凄く面白かったです!! (2015年5月11日 23時) (レス) id: edbb06b586 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - にょんさん» コメントありがとうございます^ ^ ほんとですか!? すっごく嬉しいです、ありがとうございます!! (2015年5月7日 23時) (レス) id: 6bc2673fc1 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名: | 作成日時:2015年2月15日 11時

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