*主人公side ページ3
一瞬その目の意図が分からなくてまた視線を戻したら、何秒かして突然すぐ近くで末澤先生の声が。
「こーら、真中さん」
「え…」
「先生の話、聞いといた方がええんちゃうの?」
「あ、すみません…」
やっば、一番後ろの席やからって油断し過ぎた。
周りが気付かないようにっていう配慮だろうけど耳許で囁かれて、跳ね上がる肩と心臓の鼓動。
深呼吸で落ち着けつつ急いで机の上を片付ける。
「ふふっ、バレるんやったら止めときや?」
「あいっす…」
真面目な皆は既に前を向いてて隣の高橋くんは…朝から居眠り中やったし、一応事なきを得た。
でも耳を擽った笑みの混じる声が、微かな吐息の感覚が、頭から離れてくれる気配は全く無い。
せっかく注意してもらったのに、ますます上の空な状態でチャイムが鳴るまでの時間を過ごした。
「はいHR終わり、次の準備しときやー」
担任の号令で大きく一つ息を吐き出すと、心臓の動きは心なしか未だ五月蝿いような気がする。
これは怒られた後ろめたさなのか、それとも他の違う何か…いや、選択肢も浮かばない疑問なんて頭に置いていても無駄だし追い出すとしよう。
何時ものように見やった窓の外は、美しい一色。
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作者名:y | 作成日時:2017年6月7日 16時