短い間ではありますが。 (ページ15)

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second week＊主人公side ページ15

「あ、おはようございます」
「月曜日やのに疲れてない？」

目を擦りながら駅に着くと、声を掛けられた。
私と対照的に眩しい笑顔を見せている末澤先生。
でも改札を一緒に出た先はもっと眩しい所で。
燦々と照りつける太陽が眠い頭を刺激してくる。

「うわ、眩しいな…」
「でも綺麗な青空やで？」

どこまでも突き抜けるような濃い青の晴れた空はまるで永遠を主張してくるようで不安になる。
今日みたいな青空が希望を与えるとするならば、薄く曇って少し手を伸ばせば届きそうだった先週の空は私に安心を与えていたのかも知れないな。
それは、決して押し付けることの無い優しさ。

「先生は好きですか？この空」
「そうやなあ、見てて気持ちいいから」
「…先生にお似合いの色やと思いますよ」
「ふふっ、ありがと。じゃあ急ぐから」

ちらりと腕時計を見て末澤先生は走っていった。
ふと１人になり空に向かって左手を伸ばしたときに思い浮かんだ情景は、バドミントン選手が青空の下で躍動するという有り得ないものだった。
幾度となく上へ伸ばしては掴むものをラケットに譲り続けた自分の左手が、今ここで青空の一部を掴めたならば私はどれほど不思議に思うだろう。