元気千倍イザパンマン ページ42
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「 お疲れさまでーす 」
「 お疲れー 」
悲報。今日はAちゃんが来る日だって知ってたからめちゃくちゃ仕事頑張ってたのに、その大好きなAちゃんは河村さんと出勤してきた。
俺でさえまだ朝からずっと一緒に居たことないのに、一体河村さんは何をどうやったんだ。
俺にもその必勝法教えてくださいお願いしますお願いします( 出来る範囲で )なんでもしますから。
脳内で河村さんにひたすら頭を下げながら、しっかりとショックにもうちひしがれている俺を前に、Aちゃんは相変わらず「 うげ 」というような顔をする。
だがその表情にさえも愛おしさを感じてきた俺には全くの無傷だ。
寧ろご褒美。顰めっ面まで可愛いね好き結婚しよ。
「 あれ、珍しい組み合わせじゃん。そこ仲良かったっけ? 」
「 そうだそうだー!俺のAちゃんだぞー! 」
「 貴方のになった覚えはありません 」
「 じゃあ今からなる?!?市役所行く?!? 」
「 なんでこの人朝からこんなに元気なんですか 」
「 ごめんねー。しずくちゃん絡むといつもこうなの 」
ただただ愛( と欲望 )を口にしていただけなのに、何故か福良さんに後頭部を叩かれた。
暴力反対!脳細胞死んだ!と抗議しても、既に彼の意識はAちゃんと河村さんとの会話で。
仕事のことで盛り上がっている三人を端から眺めて、思う。
なんか……俺だけ取り残されてるみたいだな。
「 ……仕事戻ろ 」
Aちゃんの傍に転がしていた椅子ごと、床を蹴って元の位置に戻る。
正直寂しいのは事実だが、楽しく会話しているところに割り込む程自分勝手でもない。また後で話そうと落ち込んでいる自分を慰めて、俺はキーボードに手を添えた。
暫くカタカタと文字を打ち込んでいると、突然コロン、と音を立てて手元に袋要りの飴が降ってくる。味はオレンジ。
顔を上げると、俺の傍にはいつの間にかAちゃんが立っていた。ムスっとした顔は健在みたいだけど。
「 くれるの? 」
「 ……まぁ、なんかさっき、ちょっと寂しそうだったんで 」
「 はっは、なんでもお見通しだね 」
俺は彼女のこういうところがどうしようもなく好きなんだ。
面倒なら関わらなきゃ良いのに、気づいちゃうとほっとけないところ。
「 それじゃあこれは家宝にして、っと 」
「 控えめに言ってキモいです 」
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作者名:朝田 | 作成日時:2020年12月3日 19時