quatre-vingt-dix-sept ページ48
私がルーピン先生の部屋へ行った時には、既に大方の荷造りは終わっていた。
せっせと荷物をまとめるルーピン先生を横目に、私は空になったグリンデローの水槽をなぞった。
『……なんか、ごめんなさい』
ル「なにがだい？」
ルーピン先生の声色はいたって優しいが、そう言われてみると、私自身もなんで謝ったのか分からなかった。
『ええと……』
ル「セブルスが言ったことなら、君が謝る義理はないだろう？」
そうか、それか。
私はこくんと頷いた。
なら余計に、なんで私は謝ったんだろう？
ル「君にとってセブルスの言うことは自分事のようだ。けれど、君が謝る必要は無いだろう？」
『……そうです。けど、なんというか、ルーピン先生は教授のことがあまり好きではないでしょう？』
彼は苦笑いをした。
ル「好きでも嫌いでもないっていうのが正解かな。……A、セブルスと仲良くね」
私は水槽の底から視線を上げた。だって、あまりにも唐突だ。
『……一体どういうことです？』
ル「そのままの意味だよ」
彼はゆっくり瞬きをした。が、暫く見つめ続けると彼は急に悪戯っぽく微笑んだ。
ル「だけど教師と生徒は恋愛禁止じゃないかい？」
『は！？私達全くそんなことは……いや、それ以前に彼は私のこと好きじゃないですし──』
私が眉を潜めると、ルーピン先生は急に間の抜けた顔をした。
ル「……本当にそうだと？」
『はい……？』
ル「セブルスのあの反応を見ても？」
どの反応なのかもわからず、私は首をひねった。
ルーピン先生は参った、というようにくしゃくしゃと頭をかいている。
だが、彼は知らない。セブルス教授はリリーを愛しているということを。
私はふと、クィリナスの「気持ちは曖昧です、例えば予知夢のように」と言っていたのを思い出した。
……いや、無いな。シリウスとセブルス教授が仲良くなるくらい有り得ない。
私は話題を変えようと、そばにあった忍びの地図を見た。
『これ、ハリーに返すおつもりですか？』
ル「ん？……あぁ、そうだよ。僕はもう先生じゃないからね」
彼の茶目っ気に満ちた微笑みは、学生時代の名残がまだあって、私は少し口元を緩ませた。
『じゃあ、私そろそろ行きます。お世話になりました』
ル「こちらこそ。君のおかげで助かった」
お互いに固く手を握る。その瞬間、なんとなく此処にトリップをした直後の高揚感を思い出した。
帰り際、ルーピン先生は「セブルスのこと、よろしくね」と私に言った。
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くるみん(プロフ) - 本当に素敵な小説です。一気に読み進めています(*´`) (2021年10月11日 10時) (
レス) @page50 id: b1b94321bc (このIDを非表示/違反報告)
ウンマ - とっても素晴らしいです (2021年3月8日 17時) (レス) id: b2f17d6310 (このIDを非表示/違反報告)
おばけ(プロフ) - yu-kaさん» ずっとコメントに気付かずごめんなさい！たった今直したところです。ご指摘ありがとうございました。遅くなって本当に申し訳ないです。 (2019年11月20日 11時) (レス) id: 44ca875d76 (このIDを非表示/違反報告)
yu-ka(プロフ) - いつも楽しく拝見させて頂いてます。ハリポタの小説の中で一番面白いです！余計かもしれませんが、p2の守護霊の呪文はエクスペリアームスではなくてエクスペクトパトローナムではないでしょうか？勘違いでしたらすみません。これからも楽しく拝読させていただきす！ (2018年7月4日 3時) (レス) id: 4be1b9fb48 (このIDを非表示/違反報告)
ユーレイ(プロフ) - 庵さん» ありがとうございます、頑張ります！ (2018年3月15日 10時) (レス) id: 19fb53cdaa (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：O
| 作成日時：2017年12月30日 23時
