quatre-vingt-treize ページ44
暫くすると、ノックもなく突然扉が開いた。
『うわっ！』
シ「A！」
セブルス教授が荒々しく紅茶を机に置く音がした。
ちらっと見ると、すごい剣幕で机を睨んでいる。何が何でもシリウスの存在を認めないつもりだ。
私は精一杯笑顔を作った。
『あー……っと、シリウス、なあに？』
シ「そろそろここを出ていくからさ。君にお礼を言わなければならないと思ってね」
『ああ！そっか……でも私は何もしてないよ』
シ「してくれただろう？私に食料を届けてくれた」
ぎくっと肩を震わせる。恐る恐る横を見ると、教授がじっと私を見ていた。
セ「初耳だ」
『すいません、本当にあの、ただの好奇心というか、その……シリウス！あとで話そう！』
シリウスはきっと確信犯だ。楽しそうなにやけ笑いがそれを物語っている。
シ「すまないね、A。悪気はなかった」
『そう』
私は彼を睨んだが、シリウスは愉快そうに私を笑い飛ばすだけだ。
彼は笑いが収まると、ふぅと息をついた。
シ「……本当にありがとう。君のおかげで救われた」
『さすが私』
私はおどけてお辞儀した。シリウスは笑ってくれたけど、教授の方を見る気はしない。
シリウスは暫く私を見ると、唐突に言った。
シ「君が19歳だと知らなかったよ」
『びっくりした？』
膝を抱え悪戯っぽく笑ってみる。
シ「ああ、とても驚いた」
シリウスは微笑んで、座っている私の後ろに回った。
そしてなんの前触れもなく、そっと私の頬に唇を落とした。
突然のことに固まった私に、彼は耳元でそっと言った。
シ「──スネイプに伝えておいてくれ。恩を売ったつもりにはなるなよと」
どうやら唐突なキスはこれを言うためのカムフラージュだったらしい。
『……っ、あんたは！ありがとうさえ素直に言えないわけ！？』
私が叩こうとすると、シリウスはひょいと避けてしまった。
セブルス教授はそれだけで呪い殺そうとしているように、シリウスを睨みつけている。
シ「嫉妬するなよ、スネイプ」
セ「我輩が何に嫉妬する必要がある？その減らず口が治っていないのを見ると、アズカバンもその程度か」
もう降参だ。
私はいつでも逃げ出せる準備ができるように、机にあったチョコをいくつかポケットに突っ込んだ。
シ「じゃあ何故睨んだんだ？」
セ「教えてやろう。我輩は逃亡犯ではなく教師だからな。睨んだ理由は汚い犬が挨拶もなしに我輩の部屋へ転がり込んできたからだ」
シ「口が上手くなったな、スニベルス」
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くるみん(プロフ) - 本当に素敵な小説です。一気に読み進めています(*´`) (2021年10月11日 10時) (
レス) @page50 id: b1b94321bc (このIDを非表示/違反報告)
ウンマ - とっても素晴らしいです (2021年3月8日 17時) (レス) id: b2f17d6310 (このIDを非表示/違反報告)
おばけ(プロフ) - yu-kaさん» ずっとコメントに気付かずごめんなさい！たった今直したところです。ご指摘ありがとうございました。遅くなって本当に申し訳ないです。 (2019年11月20日 11時) (レス) id: 44ca875d76 (このIDを非表示/違反報告)
yu-ka(プロフ) - いつも楽しく拝見させて頂いてます。ハリポタの小説の中で一番面白いです！余計かもしれませんが、p2の守護霊の呪文はエクスペリアームスではなくてエクスペクトパトローナムではないでしょうか？勘違いでしたらすみません。これからも楽しく拝読させていただきす！ (2018年7月4日 3時) (レス) id: 4be1b9fb48 (このIDを非表示/違反報告)
ユーレイ(プロフ) - 庵さん» ありがとうございます、頑張ります！ (2018年3月15日 10時) (レス) id: 19fb53cdaa (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：O
| 作成日時：2017年12月30日 23時
