soixante-douze ページ23
『スキャバーズだ！！』
ロ「スキャバーズ！？」
ロンがすぐに振り返って私が指さした方を見た。そして、彼はそのままひょいとスキャバーズを拾い上げた。
ハー「生きてたのね！」
ロ「もう大丈夫だよ、スキャバーズ……大丈夫ったら！」
スキャバーズはロンの手の中で暴れ回っている。
ピーターめ、痛い目見ればいいのに。
私は無意識のうちにその鼠を睨んでいた。
ハグリッドは私達の大騒ぎをよそに呟いた。
ハグ「ダンブルドアもいらっしゃる。お前さんら、そうゆっくりはしていられん」
ハリー「ダンブルドアも？」
ハグ「立派なお方だ。俺のために、そばにいてくれるといいなすった」
私はこの重苦しい空気で吐きそうになって、そっと視線をそらした。
ハグ「ほら、もうダンブルドアがいらっしゃる。早く行け」
ハリー「でも、僕ら……」
ハーマイオニーは意を決したようにマントを皆に被せて、裏口を開けた。
『ハグリッド……』
ハグ「うん、大丈夫だ」
名残惜しく見るも、どうすることもできない。あとは未来のハリーたちに任せるのみだ。
私達は芝生の生えた坂を早足で上がった。
ハーマイオニーはしきりにロンを急かしていた。もちろんそれは、バックビークの処刑のせいだった。
ハー「ねぇ、ロン。私とても見ていられないわ、早く──」
ロ「分かってるったら！だけど、スキャバーズが落ち着かないんだ……」
スキャバーズはきぃきぃと鳴いている。だが、その声でも男達の声は消えなかった。
ハー「お願い、早く歩いて！」
ロ「あっこいつ、噛みやがった、この！」
その時、遂に遥か丘の下でドサッという音がした。
私たちの顔が青ざめるのと同時に、唸るような声が聞こえた。きっとハグリッドだ。
ハリー「僕、行ってくる！」
『だめだハリー、落ち着け！』
私はハリーの腕を掴んだ。
ハー「信じられないわ……あの人たち、ほんとにやってしまったんだわ！」
ハーマイオニーは浅く呼吸をしていた。私は彼女の背中をそっと撫でた。
ロ「……早く、いこう」
ロンは歯をガチガチと震わせていた。
私達は静かに歩き出した。スキャバーズは相変わらずロンの手の中で暴れている。
ロ「一体どうしちゃったんだ、こいつ！」
『ロン、あれ──』
私は既に暗くなりかけている景色の向こうを指さした。
丸々の黄色い2つの目が、地をはうようにして近づいてくる。
ハー「クルックシャンクス！」
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くるみん(プロフ) - 本当に素敵な小説です。一気に読み進めています(*´`) (2021年10月11日 10時) (
レス) @page50 id: b1b94321bc (このIDを非表示/違反報告)
ウンマ - とっても素晴らしいです (2021年3月8日 17時) (レス) id: b2f17d6310 (このIDを非表示/違反報告)
おばけ(プロフ) - yu-kaさん» ずっとコメントに気付かずごめんなさい！たった今直したところです。ご指摘ありがとうございました。遅くなって本当に申し訳ないです。 (2019年11月20日 11時) (レス) id: 44ca875d76 (このIDを非表示/違反報告)
yu-ka(プロフ) - いつも楽しく拝見させて頂いてます。ハリポタの小説の中で一番面白いです！余計かもしれませんが、p2の守護霊の呪文はエクスペリアームスではなくてエクスペクトパトローナムではないでしょうか？勘違いでしたらすみません。これからも楽しく拝読させていただきす！ (2018年7月4日 3時) (レス) id: 4be1b9fb48 (このIDを非表示/違反報告)
ユーレイ(プロフ) - 庵さん» ありがとうございます、頑張ります！ (2018年3月15日 10時) (レス) id: 19fb53cdaa (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：O
| 作成日時：2017年12月30日 23時
