cent deux ページ4
占い学の授業をすっぽかした私が行くところといえば、地下牢一択だ。クィリナスは途中でそれを察して、どこかへ飛び立ってしまった。
ノックをし、返事も待たずに入るとセブルス教授は頬杖をつきながらなにやら分厚い本のページを捲っているところだった。
『失礼します、寝かせて下さい』
セ「帰れ」
私は何も聞かなかったことにして、ソファーにぼすんと横になった。ソファーは薬品の匂いがしみついていて、いい匂いではないが何となく安心して、私は好きだった。
セ「馬鹿なグリフィンドール生のことだ」
後ろでくどくどと彼が話すのが聞こえる。
セ「大方昨晩馬鹿のように燥いでこの有様だろう──おっと間違えた、馬鹿だったか」
『教授そういうのしなそうですもんねー……ああ、友達がいませんか』
友達がいないということは否定出来まい。暫くの沈黙の後、彼は机の上にあった新聞を私に叩きつけた。勿論、魔法を使って。
『なんですか、もう』
目を擦りながら起き上がる。私が見る彼は基本苛立っているので、今日もいつも通りの眉間のシワの濃さに見えた。
セ「目障りだ」
『じゃあ論文でも読んでればいいですかね』
適当に返事をしながら新聞を拾い上げる。丁度というかなんというか、リータの記事だった。
『あの人、ホグワーツの中をまだうろついてますよね』
教授は返事をせずにまた本に目を戻していたが、あの人が誰かは分かったらしかった。
『教授も、何か不都合なネタ持ってたら危ないですよ』
セ「お前程持っていない」
ちらり、と彼を見ると、頬の端だけあげた意地悪い笑みを浮かべていた。
『酷いなあ、人が折角心配してるのに』
セ「心配している奴がそんな笑みを浮かべるものか」
私はわざと一層あくどい笑みを彼に向けた。教授が居心地悪そうに顔を背ける。
『あ、何ですか？照れちゃいました？』
セ「まだ無駄口叩くなら減点するぞ」
私は「職権濫用だ」と言おうとしたが、そうでもないことに気がついて、何も言わずに頭の後ろで手を組んでソファーに横になった。
そのうちに目を閉じる時間が多くなった。
『教授、起こしてください。……この時間終わったら』
セ「お前の口煩い大鷲に頼んだらどうだ」
『だって、ここには貴方と私しかいないじゃないですか』
胸の奥が、柔らかい何かに包まれたような気分だった。暫く本のページが擦れる音だけが聞こえた。
セ「そうだな」
教授が静かに呟く頃には、私は眠りについていた。
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ユーレイ(プロフ) - 羽音さん» メッセージ、イラストともにありがとうございます！楽しく拝見させてもらいました。自分の小説からイラストまで書いていただけるなんて本当に嬉しいです。ありがとうございます！ (2019年6月1日 23時) (
レス) id: 44ca875d76 (このIDを非表示/違反報告)
ユーレイ(プロフ) - mikittyさん» 素敵なコメントにこちらこそニヤニヤしました……この焦れったい感じが書くのが楽しくて、どうしても長引かせてしまいます笑 (2019年6月1日 23時) (レス) id: 44ca875d76 (このIDを非表示/違反報告)
羽音(プロフ) - メッセージに書いていたURLです！→http://uranai.nosv.org/img/user/data/0/9/a/09ad2710a06e0237527c6512112dc071.png (2019年5月31日 21時) (レス) id: d257d5a444 (このIDを非表示/違反報告)
mikitty(プロフ) - 更新されているとニヤニヤしちゃうくらいに好きです…お互いに焦れったい感じがたまりません！セブルスという人物をとても細かく丁寧に描いている素晴らしい作品です。これからも楽しみにしています！ (2019年5月31日 1時) (レス) id: 05ebd46207 (このIDを非表示/違反報告)
ユーレイ(プロフ) - パンジーさん» 空きコマのお供にしてもらえてよかったです！！(！？) さらに面白いと思って貰えるような展開にできたらと思ってます。楽しいコメントありがとうございました！ (2019年5月30日 21時) (レス) id: 44ca875d76 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：O
| 作成日時：2018年10月23日 12時
