quatre ページ5
数日後、この私の閃きにより、ついにそれは完成して“しまった”。
というのも完成した薬はどう考えても学会に発表しなければいけないもので、それをしたからには、もちろん日刊予言者新聞が黙っちゃいない。
梟の羽音が響き渡る室内で、教授は散々悪態ついた。
セ「お前がここにいると梟便が馬鹿のように来る。帰れ」
『匿ってください』
私が呻くと、彼は殺すぞと言わんばかりに私を睨みつけた。
セ「完成した時点でこうなることはお分かりにならなかったかな」
『完成すると思ってなかったし』
彼は気に入らなそうに鼻を鳴らした。
セ「新聞に顔は出すな」
去年の苦労……というより迷惑を思い出して、私は急いで頭を下げた。
『……去年は本当に申し訳ありませんでした』
細々と言った声は届いたのか、彼はそれを無視して完成した新種の脱狼薬───人戻薬と名付けられたそれのレポートを捲った。
セ「スリザリンの末裔様は随分と目立つのがお好きなようで」
その嫌味ったらしい言い方に、私は眉を寄せた。
『自分だって薬が完成した時は嬉しそうだった癖に』
セ「何か言ったか」
『いいえ何も』
私はどこまでも冷淡な彼に少し笑った。こんな人のことを好きになるなんて、私は大馬鹿だ。
『……その薬、早く校長の元に持っていくべきですよね？』
セ「まだ持って行っていなかったのか」
教授が普段より幾らか間の抜けた表情をした。彼はここ最近、ほんの少しだけ表情が増えた気がする。
……まあ、これだけ嫌でも一緒にいたら当たり前だ。
私はひとりの時間が欲しいタイプだし、教授なんてもちろんそのはずなのに、私を去年の嫌がらせのようにこの部屋に縛り付けるからこうなるのだ。
やっぱり無茶しすぎたかなぁ、と私はルシウスから貰った指輪を撫でた。
セ「早い方がいい。行くぞ」
彼はそう言って、面倒くさそうに椅子から立ち上がった。
私は目を丸くした。
『教授も来てくれるんですか？…まさかまた見張りとか言いませんよね』
セ「校長がどうせ私を呼ぶ」
ああ、呼びそう。
私は頷いた。
セ「それからまだ学会に提出する書類が残っている。帰ったら書け」
突然放たれた死刑宣告に、私はドアを開けようとしていた手を引っ込めた。
『…面倒くさいです』
セ「お前が面倒くさい薬を作ったからだ」
彼は意味ありげにそう言って、さっさと部屋を出て行ってしまった。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1132人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ハリーポッター」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
あんず - 初めまして。私もスネイプ大好きです！仕事の合間にニマニマしながら見てます(笑)素敵過ぎる作品に感謝です！これからも頑張ってください！！ (7月4日 21時) (
レス) @page8 id: a382905644 (このIDを非表示/違反報告)
あんず - 初めまして (7月4日 21時) (レス) @page8 id: a382905644 (このIDを非表示/違反報告)
ゆっきー - すっごく面白くて、続きが気になって、ここまで一気に読みました！寝不足です笑 この先もすごく気になるし、どんな結末を迎えるのかワクワクしながら読み進めますね！これからも楽しみにしてます！私もセブルス大好きです！素敵な作品をありがとうございます！ (2022年4月5日 23時) (レス) id: 6477d40512 (このIDを非表示/違反報告)
ミキ(プロフ) - はじめまして。とらんとぬふのページで思わず泣いてしまいました…笑 占ツクで泣いてしまうなんてと思ったけど、本当に心動かされました。この小説に出会えて良かったです。スネイプ先生への愛が増しました笑 心からありがとう！！ (2019年9月19日 14時) (レス) id: 1e7e266fc1 (このIDを非表示/違反報告)
ユーレイ(プロフ) - 第一部隊さん» とっっっても嬉しいです！笑 頑張ります！！！ (2017年12月30日 23時) (レス) id: 19fb53cdaa (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：O
| 作成日時：2017年10月7日 16時
