trente-neuf ページ40
セ「……お前は私がルーピンを恨んでいると言ったな」
彼は私の頬を軽くかいた。
セ「否定することなど何も無い。……奴の周りにいた男も」
それから一呼吸おいて、教授は言った。
セ「最悪の日々にもただ……彼女がいた。私は過去に……その人を自分の手で………殺めたようなものだ。お前は嘲るだろうな。哀れな奴だと」
そんなはずないのに。
私は思わず薄目を開けた。そこには、自嘲しているかのような表情の彼がいた。
セ「私は全てを失った。……リリーを」
リリーが教授の全て。
分かりきったことを言われる。
だけど、勝手に心臓の奥の方が縮むような感覚になった。
教授の一番幸せは、リリーのそばにいること。そんなの分かっていたのに、勝手に好きになったのは私だ。
私は涙が流れないように必死に我慢した。
すると、しばらく沈黙が流れた。
そして教授の手が私の手の上に重なる。
私は驚いて思わず目を開けた。
横を向くと、確かに教授が私の手を包み込んでいる。
セ「全てを失ったはずなんだ」
『……教授？』
セ「分からない」
彼が私を見た。
縋るような瞳が私を捉えて、私は背けようにもそれが出来なくなった。
セ「私は……あの人を愛している」
彼の瞳の中にリリーが生きていると思った。だというのに私は彼から視線は外せなかった。
僅かに開いた彼の口から息が漏れる。これより先に、一体何を言おうというんだろう。
セ「分からない。私は、お前を───」
コンコン、とノックの音が聞こえた。
教授ははっとしたように私の手を離した。
セ「……この間のことは私にも非があった。それだけだ」
『……はい。私も色々と余計な口を』
セ「気にしていない」
私は柔らかく微笑んだ。教授は私を少しだけ見つめると、ローブを翻して行ってしまった。
私はベッドに横になり、天井を見上げた。
『……私はあなたの隣に少しでもいられたら十分ですよ』
か細い声が出た。
涙が溢れてきて、私はそれを拭う気力すらなかった。
それで十分だったのに。横顔をみて、「格好いいですね」なんて冗談を飛ばすくらいで良かったのに。
胸をぎゅうと掴んだ。
苦しい。
リリーがいなければなんて、そんなことは考えない。
ただ、私はどうしようもない馬鹿だから、勝手に教授を好きになって勝手に苦しんでいるだけだ。
いっそ私に過去なんて話してくれなくて良かったのに。
『……おやすみなさい、教授』
私はまた目を閉じた。涙が頬を伝った。
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あんず - 初めまして。私もスネイプ大好きです！仕事の合間にニマニマしながら見てます(笑)素敵過ぎる作品に感謝です！これからも頑張ってください！！ (7月4日 21時) (
レス) @page8 id: a382905644 (このIDを非表示/違反報告)
あんず - 初めまして (7月4日 21時) (レス) @page8 id: a382905644 (このIDを非表示/違反報告)
ゆっきー - すっごく面白くて、続きが気になって、ここまで一気に読みました！寝不足です笑 この先もすごく気になるし、どんな結末を迎えるのかワクワクしながら読み進めますね！これからも楽しみにしてます！私もセブルス大好きです！素敵な作品をありがとうございます！ (2022年4月5日 23時) (レス) id: 6477d40512 (このIDを非表示/違反報告)
ミキ(プロフ) - はじめまして。とらんとぬふのページで思わず泣いてしまいました…笑 占ツクで泣いてしまうなんてと思ったけど、本当に心動かされました。この小説に出会えて良かったです。スネイプ先生への愛が増しました笑 心からありがとう！！ (2019年9月19日 14時) (レス) id: 1e7e266fc1 (このIDを非表示/違反報告)
ユーレイ(プロフ) - 第一部隊さん» とっっっても嬉しいです！笑 頑張ります！！！ (2017年12月30日 23時) (レス) id: 19fb53cdaa (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：O
| 作成日時：2017年10月7日 16時
