hachiju-roku ページ37
私は妙に落ち着いた気持ちで自分の部屋に戻り、淡々と寝支度と手当を済ませ、ぼすんとベッドに横になった。
『あー……やらかした』
困った。
私は往生際が悪く、ごろごろと寝返りをうちながら、呻き声を出した。
すると、部屋のドアが開く音がして、「失礼しますよ」と聞きなれた声がした。
『ノックは？』
私はベッドから起き上がって言った。
視界の先には、人の姿に戻ったクィリナスがいた。
ク「失礼しました。では、次から気をつけます」
あまりにも彼はしれっと言うので、私は呆れたような声を出した。
彼はそのままこちらまでくると、ベッドに腰掛けた。
対して、私はまたベッドに寝転がる。
『な、クィリナス聞いて？』
ク「なんでしょう」
『私、セブルス教授のこと好きになっちゃった』
ク「そうですか」
私は跳ね起きて、クィリナスの顔をまじまじと見た。
いつも通りの、腹立たしいほど冷静な顔だ。私はゆっくり首を傾げた。
『驚かないわけ？』
ク「あなたこそ、やけにあっけらかんとし過ぎではないですか」
『それは───』
…絶対叶わないって、分かってるからかな。
私は消え入るような声で言った。
ク「A」
彼が静かに私の名前を呼ぶ。
ク「あなたは前に、分かりきった未来が嫌だと言いましたね。…ですが、人間の感情は絶対に知り得ません」
彼の声は諭すようだった。
ク「あなたの知っている未来は、予知夢のように不確実なものになります」
『……それじゃあ、困るな、もっと』
笑い出したいような、泣き出したいような気分だ。
『でも、彼が私を好きになる可能性は0.0000001%位だよ』
ク「そんなにあるんですか」
クィリナスがわざとらしく目を丸くする。私は思いっきりその背中を蹴り飛ばしてやった。
うっと彼が呻く。
『0%なら諦めきれるじゃない！』
ク「……では、仮に0%だったとして、それがセブルスを好きじゃなくなる理由にはならないでしょう？」
痛い所を突いてきた。
私は彼を睨みつけたが、彼を言い負かすのは諦めぼーっと天井を見上げた。
『……まあ、彼は一途だからさ。私なんかどうも思ってないし』
抱きしめられたのだって、いつも通りの傷の舐め合いのはずだ。
そんなんで好きになってしまう自分が悔しいと思った。
『セブルス教授を呪いながら寝ようかな』
私は冗談めかしくそう言って、布団を被った。
クィリナスが「素直じゃないですね」と言ったのは、聞こえなかったふりをした。
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黒金黒金(プロフ) - わーーーーめっちゃ面白かったです！！ (2022年5月30日 14時) (
レス) @page13 id: cd86d9f02f (このIDを非表示/違反報告)
ユーレイ(プロフ) - まちなか有栖さん» うわ〜〜良かったです！笑、私もまちなかさんのコメントいっつも嬉しいです…… (2017年10月7日 16時) (レス) id: 19fb53cdaa (このIDを非表示/違反報告)
まちなか有栖(プロフ) - そんなことはないですwレスが来るたびに嬉しくって嬉しくってw更新頑張ってください!!! (2017年10月5日 19時) (レス) id: 7a9cf76150 (このIDを非表示/違反報告)
ユーレイ(プロフ) - まちなか有栖さん» いや！私こそいちいち返信して迷惑かなと思ってました…笑、まちなかさんのコメントとっても嬉しいので大丈夫ですよ笑 (2017年10月5日 8時) (レス) id: 19fb53cdaa (このIDを非表示/違反報告)
まちなか有栖(プロフ) - もう感想送りすぎて迷惑じゃないかと思っているこの頃ですww更新お疲れ様です!!話したいことが気になりますね...。更新頑張ってください!! (2017年10月4日 15時) (レス) id: 7a9cf76150 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：O
| 作成日時：2017年7月20日 19時
