【QK】君の世界、私の世界 (ページ4)

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朝、戸惑い。 -4 ページ4

「水上、なんだって？」

ぐったりしている私とは反対に、クールにコーヒーを傾けているわが弟。
この態度、私に真似出来るのだろうか。

恨めしくなりつつ目線をあげてスマホを返す傍ら、本について話す。
すぐ件の本について思い至ったようで、リビングを陣取っている大きな本棚から迷わず一冊取り出して渡してきた。

「これだね。重いけど、大丈夫？」
「君の身体だからね」

普段はずしっとくる重さの厚みがある本だけれど、弟の身体だと軽く感じる。
その反対のようで、私の手と腕をまじまじと見つつ、軽く振ったりして興味津々の様子の弟。

「…あまり無茶しないでね」
「俺のセリフだよ。過信されても困るからね」

確かに、鍛えているとは言いがたい筋肉量ではあるが、高身長の為かいつもより世界に圧迫感がある。

「気を付けまーす」
「口調にもね」
「…がんばる」

とりあえず、今日はオフィスで撮影の手伝いだと言う弟の代わりに、引継ぎを受けなければ。

＊＊＊

弟は水上くんの繋がりで、1年程前からQuizKnockに参加していた。

始めはただの一ライターだったらしいが、YouTubeが本格始動して以来は動画の手伝いもしているようだった。
身内のひいき目なしにも割とルックスが整っていると思うが、表舞台を嫌うタイプなので出演に関しては断ったらしい。
普段はタイムキーパーやファクトチェックなどの雑用を画面外でしているとのことなので、その辺りなら私にも出来そうだと少し安心する。

先ほど危うかった、人の呼び方については、年上なら名字＋さん、同学年～年下なら名字呼び捨てで固定しているとのことだったので、間違える心配もそこまでなさそうである。

「でも、動画に出てる人は分かるけど、ライターくん達は顔と名前が一致しないなあ…」
「大丈夫、俺そんなに人と話すタイプじゃないから」

ぼそりと呟いた私に、弟は当たり前のように言い放った。
…それは、お姉ちゃん的にはあまり大丈夫じゃないけど。