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急に動悸がした。彼女のケーキを食べる手が止まる。
辰哉。それが彼女にとって忘れられない人だった。
「会ったの、辰哉に。6年前、どうして居なくなったのかも聞いた。彼は何も言わずしてだったんじゃない。何も言えなかったの。
私はずっと裏切られてたんだって思ってた。でも違かった。彼は彼なりに私を守ろうとしてくれた。」
こんなにも、心が締め付けられたことは無かった。
辰哉、そうAが口にするだけで壊れそうだった。
前だったら、きっとこんな話も上の空で聞いてないフリをして。
彼女のために別れようと言ったはずだ。
でもね、もう俺は違うんだ。
「それが聞けただけで、胸のつっかえが取れた気がした。6年前のこと浄化出来たんだ。行ってきてって言ってくれてありがとう、亮平。」
阿「そっか。良かったよ。」
「それとね、
…結婚したい人がいるって言ったの、私。」
自分の中での想いが、新しい方向へ向く。
苦しくてどうしようも無い想いから、鮮やかな方向へ向く。
情けないね、先に言われちゃうなんてさ。
いっつも、Aは早いんだよ。
先走って、どんどん遠くに、見えないところに行ってしまう。
それでもね、俺はもう手放さないって決めたから。
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ぽにょ(プロフ) - 番外編ありがとうございます、更新応援しています! (2020年7月7日 1時) (レス) id: 2c3c24b282 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:深 | 作成日時:2020年7月7日 1時