壱 ページ3
ザワザワ。
いつも通り…いや、いつも以上に騒がしい教室。
どうやら担任だった沖田先生が産休に入り、代わりに担任になる教師が今日からやってくることが原因らしい。
イケメンを期待して、いつも以上に化粧に気合を入れる女子。
野郎かよ。と、愚痴をこぼしながら悪態をつく男子。
私はそんなクラスメート達を横目に、鞄を机の上に置き、席についた。
ガラッ。
扉が開く。
お腹が大きくなった沖田先生が教室に足を踏み入れた時には、さっきまで騒いでいたはずのクラスメートが、姿勢をただして着席していた。
「…あら、今日は真面目なのね。珍しい」
クスクスと笑いをこぼす沖田先生。
正直、私はこの先生が好きだった。
怒る時には怒り、守る時には守ってくれる、教師の鏡のような人。
優しいし美人だったから、生徒からもかなりの信頼をよせられていた。
それに、私の大好きな教科である古典の先生だったため、私は放課後によく残って
、沖田先生に個別で古典を習っていた。
だから、沖田先生の産休の知らせを聞いた時は、嬉しいと思う一方、どこか寂しさもあった。
「代理の先生なんだけどね、電車が遅れてるみたいで…まだ到着していないの」
「「ええーー!!」」
困ったように微笑んだ沖田先生は、到着次第紹介するといって、騒ぐ生徒達を落ち着かせた。
「せんせー!新しい先生はイケメンですか!?」
とある女子生徒が、周りの子達に聞け聞けと急かされていて、降参したように手をあげた。
先生は微笑みながら「かっこいい人よ。」と、
「土方先生よりイケメンですかー!?」
「え、っ…」
瞬間、ボッと紅くなる先生の顔。
おかしくって、みんなで笑う。
10人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:沖宮あやめ | 作成日時:2017年1月14日 20時