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じゅーはち。 ページ20

クルーウェルside



喧しい居候が寝つき、少しだけ明かりを暗くして読書をしていた所で、ふと扉の向こうに誰かの気配を感じた。

しばらく消えないその気配に、まさか、と扉を開ければ、やはりAが立っていた。
開いた扉から感じる空気は、室内よりもひんやりとしている。

きっと少し前までなら、「夜更かしはレディの大敵だ、早く寝ろ」と諭していたが、最近の騒動のこともあって、つい招き入れてしまったのだった。



隣でホットミルクをちびちびと飲むAと、しばらく雑談を交わしてから切り出した。




「…最近、ゆっくり休めているか?」




それまでわりとリラックスしていた様子のAだったが、話を切り出した途端、カップを包む細い指先が強ばったように見えた。
しかしそれも束の間、妙に明るく返してきた。




『大丈夫ですよ、逆に疲れてぐっすり眠ってます』




この仔犬、誤魔化す気か。

最近の彼女は、授業中うつらうつらしているところも見受けられるし、先程見た化粧をしていない下瞼にもうっすら影があった。

きちんと睡眠をとれていないことは、俺から見たら明白なのに。




「嘘をつくなら、せめてこの隈を隠してからつくんだな」




彼女の下瞼に親指でそっと触れながら指摘すれば、彼女は隈を隠していない事を失念していたのか、気まずそうに視線を逸らした。




「別に責めるつもりはない。…が、化粧で隠すような隈が出来るほど眠れていないなら、すぐに報告するように。出来るだけ優しい睡眠薬を調合してやる」

『…はい、すみません…』

「それから、一人で悩むなら誰かを頼れと、前に言ったな?俺のところに来た仔犬共は、皆暗い顔をしていたぞ」

『…はい…』




それ以上深く言及することはせず、Aも結局何か語ることはなかった。

変なところで不器用なこの仔犬の事だ、頼れと言ったものの、また折を見てこちらから話を聞く機会を作らなければ。

じゅーきゅう。→←じゅーなな。



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青藍(プロフ) - 最初は国の王女だったと思うんですけど途中から女王になっているのは何故ですか?どちらが正しいのでしょうか、見間違いだったらすみません (2022年5月21日 1時) (レス) @page50 id: 2e61a566e8 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - 8ページ 本当の彼女自信 自信 ではなく 自身 ではないでしょうか? (2021年2月15日 23時) (レス) id: 411fa15fdd (このIDを非表示/違反報告)
萌葱(プロフ) - みるさん» そうですね笑笑 (2020年10月26日 16時) (レス) id: aca7e42382 (このIDを非表示/違反報告)
みる(プロフ) - 乃亜さん» 処刑までのカウントダウン始まりました笑 (2020年10月26日 14時) (レス) id: c52392d14b (このIDを非表示/違反報告)
みる(プロフ) - イヴさん» 果たして監督生はどうして情報をもってるのか…続編でお待ちしてます!! (2020年10月26日 14時) (レス) id: c52392d14b (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:みる | 作成日時:2020年10月16日 1時

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