雫 ページ5
少し冷たい体に、シャワーの熱が心地いい。
しゅわしゅわとシャンプーを泡立てて、髪の毛を洗う。
りんごの香りが広がった。
リンスもボディーソープも石鹸も、シャンプーと同じで、姉さんと花梨からの贈り物だ。
りんごが好きな私のために全部りんごの香りにしたらしい。少しやり過ぎな気がしないでもないけど……。
お風呂に入ってる時は思い出せる…あの2人と過ごせた楽しかった日々を…。
忘れちゃいけない、あの時のことを……。
私がもっとちゃんとしていれば、あんなことにはならなかったかもしれないのに……。私があの2人の優しさに甘えてばかりいたから。
…ううん。江戸に来てからに限ったことじゃない。昔から私はわがままばかりで、人に迷惑をかけてばかりいる。
大切な人を傷つけて、もう戻れないところにまで追い込んでしまう。どうして気づいてあげられなかったんだろうって、今さら後悔してももう遅い。
誰にも頼らず、一人で生きて行けるようになりたい。そうすれば誰も…大切な人も傷つけずにすむから……。
本当にどうすればいいのか分からない……。私にできることはなんだろう……。
ポタっと、ほんのり温かい雫が床に落ちた。
_また泣いてる……。泣いちゃだめ。私がこんなだから、みんなに迷惑がかかる。泣いたところであの2人が戻ってくるわけじゃないんだから。
そう思っていても、溢れ出た涙はとどまることを知らずに流れる。
あれから何年も経ってるのに、私は何も成長してない。それどころか、退化していっているような気さえする。
私だけが過去に取り残されているような、そんな感覚……。
もうやめよ…。考えるのは……。
体を全部洗い終えると、湯船に浸かった。
水面に映る自分の顔を見て、無理やり笑顔に変えた。
無理やりでも、笑顔を作れるうちは大丈夫…。まだ頑張れるから……。
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坂本雪奈(プロフ) - 大福(。-_-。)さん» 私も嬉しいです! (2018年12月24日 0時) (レス) id: 075208253c (このIDを非表示/違反報告)
大福(。-_-。)(プロフ) - 坂本雪奈さん» やはりそういうことですかね……!辰馬好きなんですね!周りに辰馬好きの人いないから、仲間がいて嬉しいです笑笑 (2018年12月24日 0時) (レス) id: 509ac84e45 (このIDを非表示/違反報告)
坂本雪奈(プロフ) - 多分、ようこそ推し尊いの世界へという事だと思います!私も辰馬大好きです! (2018年12月19日 16時) (レス) id: 0d84f3c92e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:大福(。-_-。) | 作成日時:2018年5月5日 8時