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『あ、....そういえば五条先輩』
「ん?」
『私が高専に居たの、宿儺の指を回収したからなんです。』
玄関近くに置いた鞄を取りに戻って、宿儺の指の入った箱を取り出す。
あんまり呪力は感じられない。息を潜めてたのかな?
『五条先輩、先生やってるんですよね。』
「うん。あ、これは僕が預かる。ありがと」
ありがとうって言われた...
『あんまり、似合いませんね』
ふと、油断して出た言葉。
『あ、いや、えっと、その...』
「自分でも思うわ、教師なんて柄じゃない。」
照れたように首元を触って、先輩は優しく微笑んだ。
こんな、顔...初めて見たかも。
「夢があんだよね。
Aも知ってるでしょ?上の連中の馬鹿さ加減。
僕はそんな呪術界を、リセットしたいんだ。
上の連中皆殺しにすんのは簡単だけど、それじゃあ誰も着いてこない。だから教育を選んだ。」
私が何も反応を示さないから気まづくなったのか、ソファの背にもたれて目を逸らされた。
こんな風に、夢を語る人だと思わなかった。
私は昔の五条先輩しか知らない。
でもその昔の五条先輩ですら、深くは理解出来てない。
『羨ましいです。』
「え?」
『五条先輩らしいですね。夢を持てるって羨ましいです。
私は、夢も希望も見いだせない、なんの取り柄もない人間なので』
普通に稼いで、普通に結婚して、普通に子供を産んで、普通に死ねればそれが1番良い。
私がこの人を嫌いなのは、いじめられてたからだけじゃない。
どこか、羨ましいところがあるからだ。
この人が全てに恵まれてるなんて思わないし、努力もしてきた人だと思う。
けど、努力が出来るのも才能だ。
私がどれだけこの人を嫌おうと、人間にとってこの人は必要不可欠な存在なんだ。
だからこそ、嫌い。
「あー、映画見ない?それか風呂先に入る?
服なら貸すし、下着は1階のコンビニで買えばいいよ。」
苦笑して選択を促してくる先輩に、『お風呂』と答えた。
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しらす - 面白いです!応援しています♪ (2021年3月3日 4時) (レス) id: 0909f67dda (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:菜の花 | 作成日時:2021年2月8日 19時