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〜11年前〜





「気にしちゃダメだよ、A。
あれは仕方なかった」



『うん...』



同期の灰原が少し心配を含んだ笑みで私の顔を覗き込んできた。



辛うじて出た相槌も、殆ど喉を鳴らしたくらいのものだ。



一年の教室の扉が開いて、七海が入ってくる。
手には担任から貰ってきたであろう報告書の紙。



「あぁー!七海、今回僕が書くよ!」



「佐伯の番だろ」



「いや、僕今めっちゃ書きたい気分!」



気を使わせてる。分かってるけど、今は灰原の優しさに頼りたくて、ずっと顔を下に向けたまま結局「私がやるよ」の一言は出てこなかった。



今日の任務はそんなに難しいものじゃなかった。



都内の神社に出現した2級呪霊とその他複数の低級呪霊の抜祓。



七海と灰原は2級呪霊に当たり、式神使いの私は低級呪霊の抜祓に集中していた時だった。



2人の心配するくらい余裕ぶっこいていた私には、あまりに急な出来事で身体が全く動かなかった。



奥の方で気配を消していた別の2級呪霊が、女性を人質にとって現れたのだ。



すぐに駆けつけた2人の助けもあり、女性は軽傷で済んだのだが


私があの時身体を動かしていれば無傷で済んだのにと思うと自分が情けなくて仕方がない。


『ちょっと、散歩してくる』


「あ、うん...」


切り替えなきゃ。この程度でいちいち凹んでたら、術師なんてやってられない。


頭を冷やすために高専の敷地内を散歩する。


この現代っぽくない雰囲気、好きなんだよなぁ。


そんなことを思ってる時人影が見えて足を止めた。


別に隠れる必要ないのに、何故か木の後ろに隠れて人影の正体を見る。



(五条先輩だ...!)



凄い人______私の彼への印象はただそれだけ。


あの御三家の五条の生まれで、相伝の術式を継いでいる上に六眼まで持っていて、私とは端から土俵が違う。




けど、その印象が間違っていたとすぐに気づいた。




「ぁぁ!!なんっか、違ぇんだよなぁ。」



目の前に置いてあるのは、夜蛾先生の呪骸だろうか...?



そこに向かって、術式を発動する時の手を出すが何も起こらない。



「言えばいいのか?必殺技的な...。

術式反転 赫!!!」



どこからどう見ても、練習。


私の中の何かがひっくり返されるような衝撃があった。


それが、だからこの人は凄いんだと理解した衝撃なのか


人を助ける責任を全うするということに気付かされた衝撃なのかは、よく分からない。

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しらす - 面白いです!応援しています♪ (2021年3月3日 4時) (レス) id: 0909f67dda (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:菜の花 | 作成日時:2021年2月8日 19時

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