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「私を暇な人間だと思ってるんですか?」



『冷たいなぁ、同期なのに』



「社会人として、深夜に連絡はどうかと思いますよ」



『でも来てくれたじゃん』



「まぁ、同期ですから」



イマイチ会話が噛み合わないのに、懐かしさを感じた。




昨日の夜誰かに全てを話したい衝動に駆られ、気付いたら同期の七海に【明日会いたい】と連絡してしまっていた。



【了解】の文字のみで、それ以上何も聞こうとしなかったのは多分同期として何か察してくれたんだろう。




「補助監督になったとは聞きましたが、
携帯まで変えたんですね」



『あぁ、ちょっと色々あってね...』



朝の割と早い時間帯のカフェを指定したのは、間違えだったかもしれない。



中々話を切り出すことが出来ず、気まづい沈黙が流れる。



耐えきれなくなってアイス珈琲に手を伸ばそうとした瞬間、「人の時間を借りてるんですよ」と催促するような言葉が降ってきた。




『すいません...』



「大方検討はついてます。
今更どんな愚痴を聞こうと驚きませんよ。」



グラサンを押し上げ、一度もこちらを見ようとしないのはきっとわざとなんだろう。


大して興味はないから、気軽に話せと言いたげだ。


何度か仕事の相談や悩みにのってもらうとき、彼はいつも興味無さげにする。


私が独り言のように喋る方が気が楽なのを知っていて、本当にただそこに居るだけという役に徹してくれる。



『優しいね』



「どこに優しさを感じたのかは分かりませんが、その無闇に人を褒めるくせは辞めた方が良い。」



そんなくせある?と聞き返したかったが、人の時間を借りてるという発言を思い出して『あのね』と本題を話し始めた。



先輩のことや、元カレのこと、過去の想いを引き摺ってること、全てを話す間彼は相槌を打ちながら聞いてくれた。



やっぱり、七海に相談するのが一番心地いいな。



『どうしたら良いかな...全部中途半端なまんま、
今朝も先輩に黙って抜け出してきちゃった。』



「どうするも何も」



そこで区切った七海は、無表情で私を見る。



「今更過ぎるだろ」



『へ?』




偶に出るタメ口は私に呆れた時に使う言葉。




その口調と同時に、予期していなかった言葉に驚いて一瞬思考が止まってしまった。

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しらす - 面白いです!応援しています♪ (2021年3月3日 4時) (レス) id: 0909f67dda (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:菜の花 | 作成日時:2021年2月8日 19時

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