未来へ ページ29
教授この地を治めていたタソガレドキ城が―――、と今日の講義はここまで。
終講の合図とともに学生たちが講義室から大勢出ていく。
学生たちは口々に昼食や午後の講義や昨夜のテレビ番組の話をしている。
とても平和でありきたりな、平成の大学の風景だ。
Aはケータイを片手に中庭に出る。
line画面を確認するが未読のままだ。
「彼」は、まだ講義中だろうか。
のどかな日常に目を細める。
A何だか、あの日々が夢のように感じられる、、
さぁっと流れる風の音に耳を傾けながら目を閉じる。
====
尊奈門A!!!
かけよってきた尊奈門に抱きしめられる。
いつの間にか服はもともと来ていたワンピースに変わっていた。
私の帰還に喚起するその人は、つい先ほどまで側にいたあの人と
まるで同じ背格好で同じ顔をしているのに全く違う人で
でも、ずっと会いたかった彼だった。
A尊、、っ
ようやく帰ってこれたのだ。
尊奈門は落雷の衝撃で吹き飛ばされた割には擦り傷程度で済み
私自身もまた大きな怪我はなく、ただ少しだけ衰弱していたので
検査入院だけしてすぐに家に帰ることができた。
大学入学まで一週間弱、思い切って転科試験を受けた。
大学側も入学前の異例の転科に初めこそ反対はしたが
私の身に起こったことの顛末や熱意に押し負け、試験は開かれた。
実は転科希望の学科の教授から後押しがあったことは別の話である。
入試を受けたばかりだったこともあり
無事転科試験に合格を果たした。
向こうで過ごした時間は約2か月間だったが
驚いたことにこっちでは2週間と少ししか経っていなかった。
こうして無事に平成に戻ってきた私は――――
尊奈門A!ごめん、講義が長引いた!
慌てて走ってくる「彼氏」にとびっきりの笑顔を向けた。
A待ってたよ!
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ぱんだれ(プロフ) - 樹村ナツカさん» はじめまして。コメントありがとうございます。すごい励みになりました!これからも物語を作っていく予定なのでよろしくお願いします! (2018年6月24日 0時) (レス) id: 0f1bb45ad6 (このIDを非表示/違反報告)
樹村ナツカ(プロフ) - はじめまして。すごく面白かったです。素敵なお話をありがとうございました! (2018年6月23日 20時) (レス) id: d6fcb4e314 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ぱんだれ | 作成日時:2018年5月26日 14時