諸泉尊奈門の手記3 ページ27
――、、こうして湖の神子はミソギ村の、いや、タソガレドキ全土を救った。
最後の力の代償なのか
それとも、ここまでが運命だったのか
理由は分からない。
神子は皆を癒したのち、村に現れた時と同じよう水玉に包まれ
そして湖の底へ吸い込まれていった。
最後は満足げに微笑みながら。
その微笑みはこれまで見たどんなものよりも美しかった。
きっと私は、私たちは神子のことを決して忘れないだろう。
持てる全ての力を使って人々を救った優しい娘を。
水玉が湖底に吸い込まれた直後、一筋の稲妻が湖のほとりの大岩を砕き文字を刻んだ。
岡象女神ヲ奉請テ宇津ノ幣帛ヲ井輪ニ取刺テ
祈給ヒ祷申ス事ヲ所聞食テハ
允ニ沸泉シ成足テン八百萬神諸共ニ平ケク安ケニ所聞食、と。
その後の話だが、神子の願いは戦を起こした城主たちの心にも届き
戦は、首謀者であったカエンタケ城がタソガレドキ城に降伏し
カエンタケに連なった同盟各国も白旗をあげたことで幕を閉じることとなった。
タソガレドキ城城主は神子の思いを汲んでか
敵領の復興支援も行ったことで民の支持を得、
敵方四城をまとめあげた。
――――
(伝説に関する手記はそこまでで途切れているが、彼の日記は続いていた)
湖の底に帰ってしまったAは一体何者だったのだろうか。
神子、そういってしまえば簡単だが私にとってはそれ以上の存在だった。
初めて来たときは一人では何もできなかったのに、
いつしか村での生活にも困らなくなっていた。
そして最後は皆を救って消えていった。
彼女がここに来た時に来ていた服、持ち物はいつの間にか消えていた。
彼女がこの世界のものではないと知らしめるように。
もうここには彼女のいた証は何もなくなってしまった、、
そう思っていたのだが、先日、村を訪れた際
村人から「湖の底に落ちていた簪」を受け取った。
それは私が贈った簪だった。
水玉がはじけた際に髪から落ちてしまったのだろう。
彼女がここにいた証、この簪は思い出と共に一生大事にしようと決めた。
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ぱんだれ(プロフ) - 樹村ナツカさん» はじめまして。コメントありがとうございます。すごい励みになりました！これからも物語を作っていく予定なのでよろしくお願いします！ (2018年6月24日 0時) (
レス) id: 0f1bb45ad6 (このIDを非表示/違反報告)
樹村ナツカ(プロフ) - はじめまして。すごく面白かったです。素敵なお話をありがとうございました！ (2018年6月23日 20時) (レス) id: d6fcb4e314 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ぱんだれ | 作成日時：2018年5月26日 14時
