覚醒 ページ13
気づくとAは湖に向かって走り出していた。
幾度も幾度も繰り返し眺め、読んだ祝詞はすっかり暗記している。
A高天原に坐し坐して、天と地に御働きを現し給う龍王は―――
無我夢中だった。
激しく吹きすさぶ大嵐に声などかき消されそうなものなのに
決して叫んだわけではない、
にもかかわらずAの声は村中に響き渡った。
A――――に念じ申す大願を成就なさしめ給へと、恐み恐み白す、、!
瞬間、水底から目もくらむような光があふれだす。
光は天に届くとはじけ、辺りを激しく打ち続けた雨を止めた。
次第に風も止み、波の勢いは静まり、湖は元の姿を取り戻した。
それだけではない。
目の前で波にのまれたはずの少女が湖岸に打ち上げられていた。
他にも、今日の嵐で湖にのまれた者たちが次々と湖岸に打ち上げられる。
村人シズ子!!村人お前!!
打ち上げられた人々に次々と家族が駆け寄る。
無事高台に逃れていた者たちも恐る恐る出てくる。
ちょうど到着したタソガレドキ忍軍はこの状況に驚愕の表情を浮かべる。
雑渡昆奈門梟隊は村人の救護に、それ以外はがれきの撤去を!
神子の力に圧倒されながらも、
忍軍の組頭である雑渡昆奈門は即座に部下たちへ指示を出す。
恐らく波にのまれた全員が岸に上がった時、
Aは力を使い果たしたのか、ふっと気が遠のく。
諸泉尊奈門A!!
意識がなくなる直前、Aは大好きな尊奈門に名前を呼ばれた気がした。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 12人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ぱんだれ(プロフ) - 樹村ナツカさん» はじめまして。コメントありがとうございます。すごい励みになりました！これからも物語を作っていく予定なのでよろしくお願いします！ (2018年6月24日 0時) (
レス) id: 0f1bb45ad6 (このIDを非表示/違反報告)
樹村ナツカ(プロフ) - はじめまして。すごく面白かったです。素敵なお話をありがとうございました！ (2018年6月23日 20時) (レス) id: d6fcb4e314 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ぱんだれ | 作成日時：2018年5月26日 14時
