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大嵐 ページ12

その日は朝から雨が降った。
小雨が次第に大雨に変わり、夕方頃には嵐になっていた。

雑渡昆奈門これは、まずいねえ。
城下に広がる嵐を見て、全身を包帯に包んだ忍びが呟く。

城にとっても大事な水源であり領民を守るべく
タソガレドキ忍軍も手の空いているものはミソギ村へ向かった。


――――

久しぶりの嵐だった。
湖の神子が水底から現れてから1ヶ月強、雨は何度かふってはいたが
これほどの大嵐は来ていなかった。
大嵐と共に悪夢が蘇る。
暫く大人しかったが、荒れ狂う龍のような今の姿こそこの湖の常だった。
黄昏時、夕暮れまで続いた雨が嵐を呼び、暗がりの中で村人をさらっていく湖。

だから黄昏海。



村人高台へ逃げろー!村人神子様ー!村人湖に近づくんじゃないぞ!
湖のほとりに暮らす村人たちは思い思いに叫びながら高台へ逃げる。
Aは焦っていた。彼女はまだ湖を治める力を得ていない。

Aどうしよう、、私が何とかしなきゃいけないのに、、!

慌てて小屋の外へ出るが、荒れ狂う湖に足がすくむ。
Aむりだよ、、私にはできない、、
激しい雨に打たれ、立っていられない。
びゅうと強い風に煽られその場にへたり込んでしまった。

ガタガタ震え、何もできないでいた。その時、
子ども母ちゃんっ――!!
視界の端で子どもが、波にのまれる。
暗がりで良く見えなかったが、その声はAの小屋によく遊びに来ていた少女のものだった。


「神子様にお花の冠あげる!」

「母ちゃんがね、これ神子様にって!」


少女との思い出が頭を駆け巡る。
他の村人もそうだ。神子とは言え、何もできないAを助けてくれた人たち。
彼らの家々が水に飲まれ消えていく。

Aこんなの、嫌だ、、

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ぱんだれ(プロフ) - 樹村ナツカさん» はじめまして。コメントありがとうございます。すごい励みになりました!これからも物語を作っていく予定なのでよろしくお願いします! (2018年6月24日 0時) (レス) id: 0f1bb45ad6 (このIDを非表示/違反報告)
樹村ナツカ(プロフ) - はじめまして。すごく面白かったです。素敵なお話をありがとうございました! (2018年6月23日 20時) (レス) id: d6fcb4e314 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ぱんだれ | 作成日時:2018年5月26日 14時

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