ケッコンの約束 ページ10
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「こーら！ 暴力はダメだぞ」
智先生が、和の耳を緩くつまんでメッってする。
…………いいな、アレ///やってもらいたい
和は智先生の手を乱暴に払って、俺に向けていた視線を上に向けた。
「さとしがわるいんじゃん！」
「なんで、おいら？」
「ウワキしようとしてる！！」
「浮気って何よ？」
「さとしは、オレのヨメになるんだろっ！」
「嫁って(苦笑)」
「約束したじゃん！！」
嘘だろ！？
マジで！？
いつの間に！？
子供の言葉とはいえ、俺は大いに焦る。
「ごっこ遊びでしたんだっけ？」
「ちがう！
せーやくしょに名前かいた！！
しょーらい、オレとケッコンするって！」
「ああ、あれかー。
年長組の女子がふざけて、おいらとお前に書かせたやつのこと？」
「だいじな約束をするもんだっていってたぞ」
「それはそうだけど……」
「ほらぁ！ 約束は約束じゃん！！」
誓約書だなんて、なんつー大人な遊びをしてるんだ。
ていうか、その女子って何？
まさか、腐女子ってやつ？
じゃあ智先生と俺を応援してくれないかな……、じゃなくて！！(汗)
「あのさ、和」
困ったように笑いながら、智先生は和の頭を撫でる。
「先生のことを、結婚したいくらい好きっつーの話はあるだろうし、
おいらもその気持ちは嬉しいけど……」
「したいくらいじゃなくて、ホントにケッコンすんの！！」
「おいら男だよ？ さすがに結婚は無理だわ」
ズキッ
自分にいわれてるようで、智先生の返事が胸に刺さる。
「オトコでも、さとしが好きだ！！」
めげずに、ストレートに告白する和が、やっぱり羨ましい。
俺は『大人』で、『常識』がある社会人。
智先生に引かれるくらいなら、告白なんてしないで「友達」でいられる方がいいって、どこかで諦めてた。
「和」
智先生は、和の目線の高さになるようにしゃがんだ。
そして、困った顔はやめた。
「ありがとう。おいらも大好きだよ」
「さとし」
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