割増の朝 ページ9
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和を後部座席のチャイルドシートに乗せて、
俺は、いつもどおり保育園の玄関前のスペースに車を停めた。
和が降りるよりも先に運転席から飛び出して、
外の掃除をしていた彼の元へと走り寄る。
「おはようございます！！ 智先生」
「櫻井さん。おはようございます」
ああ、今日も笑顔が可愛らしい。
「メールで先にお返事しましたけど、
俺でよければ、喜んで！！///」
「すみません。
直接会って言えばいいものを、メールなんかでお誘いしたりして。
すぐに返事をしなくてはいけない先があったもので……」
「いえいえいえいえ！！///
誘っていただいて光栄です！！」
「でも……」
「友達じゃないですか！！
いつでも何でもウェルカムです！！」
「ふふっ ありがとうございます」
ちょっとはにかんだよな笑みを浮かべてペコリと頭を下げる智先生が、
通常より割増な可愛さをふりまいていて、俺は目眩をおぼえてよろめいた。
「平日なのでご迷惑かなとも思ったのですが、そう言ってもらえると助かります」
「と、友達ですから！！///」
「あ…っ…」
勢いを借りて、智先生の手を握る。
いきなりで驚いたようだったけど、
智先生は俺の手を振り払わないで、間近で笑ってくれた。
(うあぁっ……/// やばいやばいやばいやばい)
和のヤツ、いつもこんな至近距離から智先生の笑顔を見てんのか。
めちゃくちゃ羨ましい……
「オレのさとしにさわんな！！」
「いってぇぇ――っ！！」
脛を思いっきり蹴られて、悲鳴を上げた。
それでもしつこく智先生の手を離さなかったら、
もう片方も続けて蹴り上げられて、尋常じゃない痛みにしゃがみこんだ。
「和―ッ！！」
最近、本当に乱暴になったな。
そんな子に育てた覚えはないぞ(怒)
脛を撫でて見上げれば、
和が、智先生の腰に抱きついて、こっちを睨み付けていた。
負けじと強く返しても、まったく怯む様子はない。
なんだよ……
マジで、恋しちゃってるとか言わないだろうな、オマエ。
智先生は男で、年上で、
お前の恋人になんてならない人だからな。
……自分のことは棚に上げるけど。
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