朝の天国 ページ5
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姉さんが退院して、順調に回復し、
この１月に仕事に復帰することになった。
倒れる前までそうだったように、仕事に向かう前に息子を保育園に送ることはできるけれど、
病み上がりだから、一度にいろいろしない方がいいと、
甥っ子の朝の送りだけでも俺が続けることを進言した。
姉さんの体が心配なのは本当だけど、
一番の理由はもちろん……毎日彼に会う幸せが無くなってしまうことを避けたかったからだ。
「おはようございます」
にっこりというより、ふにゃんとした笑顔に出迎えられる。
「お…はようございます///」
今日も、なんて可憐なんだろう。
男性なのに犯罪級に可愛いと感じてしまうのは、俺の感覚がおかしいだけじゃないと思う。
そんな心の内を抑え込んで、微笑み返した。
「さーとし！ おっはよー」
「んふふ 和 おはよう。
今日もかわいいな」
「あたりまえじゃん！」
「ケツ揉むなってばっ」
ここは天国に違いない。
悪ガキな顔がすっかりなくなった天使の笑顔の和と、女神のような微笑みを湛える智先生がじゃれている。
ツーンと鼻の奥が痛い。
このまま、昇天しそうだ。
ああ……なんて幸せな時間。
「ん？ 櫻井さん？」
「はいっ！？」
「何か？」
「えっ」
「お仕事に行かれないので、何か連絡事項でもあるのかと……」
小首を傾げるその姿に、またクラクラと目眩をおぼえる。
マジでこの人、天使だろう!!(断言)
俺より年上の男性でバツイチだなんて、全然信じられない。
「れ…連絡事項というか、あの…ですね 智先生」
今度、俺と……二人で……
「はい？ なんでしょう」
和をひょいと抱っこして、俺の正面にくる智先生。
屈託のない笑みを浮かべたまま俺の言葉を待つ彼を直視できなくなって、踵を返した。
「きょ…今日も和のことをよろしくおねがいしまぁぁ―――す！！」
「え……？」
背中で俺を呼び止める先生の声が聞こえたけど、猛ダッシュで車へと戻る。
ああ……今日も言えなかった(涙)
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