近くなった距離 ページ25
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「おは……」
「さとし――っ！！」
「ウワッ」
外の掃除を終えて、玄関付近にいた智くんに
車から降りて全力疾走していった和が飛び付く。
「朝から元気だなぁ 和」
智くんは、今日もふにゃふにゃと癒しオーラ全開だ。
ぎゅうぎゅう抱きつく和を軽々と抱き上げる、
「さとし！ 翔ちゃんがおかしい！」
何を言い出すんだ。
和が後部座席に放置したままの通園リュックと水筒を持って、二人のもとへ行く。
「おはよう」
俺の挨拶がいつもと違うことに、和は敏感に反応した。
「おはよう、翔くん」
返される挨拶と笑顔。
昨日のことが夢ではないことを実感する。
そして、
智くんまで親しげになっている様子に驚き、目を見開いてる和に、ついドヤ顔をしてしまった。
「昨日はありがとう」
「んふふ」
「もう今から、来年の誕生日が楽しみでならないんだけど」
「え？ そうなの？」
「うん」
リュックと水筒を手渡す。
「恋人ができないって？ もうすでに諦めてるってこと？ ダメじゃん(笑)」
貴方以外の誰も、恋人にするつもりないもの。
「いいんだよ、なるようにしかならないものでしょ？」
「イケメンなのになぁ」
「ふふ 智くんは美人だよね」
「えー 女顔っていいたいの？ 嬉しくねーわ」
「綺麗ってことだけど？」
貴方以上に美しい人はいない。
俺の世界には、貴方しかいないんだよ。
「はははっ 翔くんのセンスおかしいよ。
それじゃ恋人できるの無理っぽいね」
「ひどい言われようだなぁ(笑)」
無理だろうけど、それでもいい。
「じゃあ、来年の誕生日も一緒に沖縄かな」
貴方が、俺のそばに居てくれるなら。
「うん、そうなる自信があるよ
あの桜を一緒に見に行こう、智くん」
微笑む貴方を抱き締めたい。
そんなことはできない。
俺は随分と忍耐強い男になりそうだ。
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