予想外、予想以上 ページ14
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行き先は、沖縄。
一緒に行こうとしていた人がインフルエンザになってしまって急にキャンセルになり、
予約していた飛行機のチケットがもったいないし、もし都合がいいなら……というのが、智先生の誘いだった。
「日帰りで行くのでスケジュールはハードだし、平日なので……
お誘いしても迷惑かなと思ったんですけど、櫻井さんがＯＫしてくれてよかったです」
「俺も誘ってくださって嬉しかったです！！///
この時期なら、まだ休みもとりやすいので問題ないですし」
「そう言ってもらえて安心しました」
狭い車内、密室で二人だけの時間。
それだけで、もう夢みたいだ。
俺は気になっていたことを思い切って尋ねてみる。
「あの……」
「はい？」
「一緒に行く予定だった人って……？」
「ああ、えっと……後輩、んー 同僚です」
「同僚？ 保育園の？」
あの園には智先生以外の男の先生はいない。
えっ！？ だとしたら、女！？
本格的なデートだったとか！？
その事実に、汗がにじんだ。
「そうです。
いつもは一人で行くんですけど、
今回はぜひ連れてってくれと頼まれて……」
「そ…うだったんですか」
マジか……
「もうすぐ子供も生まれるから、そんなに自由な時間も無くなるだろうし、
その前に良い機会だな…と」
「子供！？！？」
嘘だろ！？
そんなことになってる相手が、智先生にいただなんて！！！！
「櫻井さん？」
「あ……あの……」
「はい」
「パーキングに寄ってもいいですか？」
落ち着かなくちゃ……
落ち着かなくちゃ……
「じゃあ、おいら 運転代わります」
「……はい、お願いします」
10分ほど走って小さなパーキングエリアに停まった。
あまりのショックで吐きそうなくらい気持ちが悪くなってしまい、トイレに駆け込んだ。
「わかってた……ことじゃないか」
個室に籠ったけど出るものも出ないで、
結局……そんな言葉だけを吐き出した。
自分が恋愛対象にならないことくらいわかっていて、
友達として側にいることで幸せなのだと。
そんな……うわべなことを考えていた愚かさ。
告白するつもりもない。
ただ好きでいるだけでいい。
『友達』というポジションでかまわない。
予想以上に……地獄だった。
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