保育園と先生 ページ2
.
何がきっかけかは知らないけれど、
２歳ですでに口達者だった甥っ子は、内向的な性格をみせるようになり、
それを心配した姉さんが、３歳から保育園に通わせることを決めた。
「幼稚園じゃなくて、保育園なの？」
「ええ」
「姉さんは仕事はしているけど、実家で同居じゃないか
保育園に通わせる認可って簡単におりない気がするけど…」
「認可のところは難しいかなぁ」
「じゃあ、幼稚園でいいんじゃ？
公立なら来年からほぼ無条件で入れるんだし」
「ううん、もう決めてきちゃった！」
そう言って明るく笑う姉さんは、俺に とある無認可保育園のパンフレットを見せた。
そこは、ここから２つも校区が離れた辺鄙な場所にある園で、
独自の保育方針を実施していることで、この界隈では有名なところだった。
その園に対して賛否両論の声があることを知っていた俺は、
姉さんにやめた方がいいのではないかと言った。
それでも、和と一緒に説明会にいってきた姉さんは、
そこで見て感じたモノを信じると言って譲らず、
父と母の説得もして、次の週明けには入園希望を出してきてしまった。
その園に通い始めてからも、和に大きな変化は見られなかったけれど、
和の口から特定の先生の名前がよく出るようになった頃、
食事の会話が弾んできていたように思う。
そして１年ちょっと。
その先生を初めて見たのは、和が年中組にあがった夏だった。
それまで、仕事で、和の園行事に行ける機会に恵まれなかったのだけど、
夏休みが始まる前の土曜日に、
姉さんに小さな浴衣を着せてもらった可愛い甥っ子を見て、一緒についていくことにした。
車を出して、夏祭り会場へ向かう。
近くの市営駐車場に車を停めて、和と手を繋いで公園に向かえば、
保護者とＯＢとみられるボランティアが、誘導係をしているのに出くわせた。
(ご苦労なことだな)
仕事でもないのによくやるなぁ…と半分だけ感心しながら、会釈をして通り過ぎて行く。
そこに、
草履でパタパタと駆け回り、
誘導係の男性たちに指示をしながら労いの言葉をかけている、
浴衣姿の美しい人を見つけたんだ。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 433人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「嵐」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
