これまで ページ1
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俺には、３つ年上の姉がいる。
姉は優しくしっかり者で、子供のころから仲は良かった。
そんな姉が、高校時代の同級生と結婚したのは７年前。
そして、妊娠。
懐妊祝いを持って行った二人の家で、
仲睦まじい姿を見て、弟ながらに妬けたのを覚えている。
それなのに、
仕事先の事故で、お義兄さんはあっけなく亡くなってしまった。
まだ６ヶ月の赤ん坊だった和也と一緒に実家に帰ってきた姉さん。
父も母も、初孫の和也を可愛がっていたけれど、母である姉に勝るものはなくて、
姉さんの尽きることがないような愛情に包まれ、和也はすくすくと育っていき、
その微笑ましい親子関係は、端から見ていても羨ましいくらいだった。
だから、
俺もいつか結婚して子供をもうけ、愛情あふれる家庭ってやつを築くんだと…信じて疑わなかったものだ。
俺は、世間一般で言われる一流大学に現役合格し、留年することなく卒業。
それから地元に戻り、公務員になった。
順風満帆な人生を歩んでいたと思う。
ただ残念なことは、女性と付き合ってもなかなか長続きしない…ということくらい。
何故なのかは、それぞれ理由があるのだけれど、
姉夫婦のように「愛情が変わらず、この人とずっと添い遂げたい」と思える人に巡り会えなかった…ということに尽きるだろう。
天使の生まれ変わりだと思っていた可愛い甥っ子は、
いつの間にかクソ生意気な口をきくようになっていて、
「翔ちゃんは オンナゴコロがわからない残念な男だ」
と、からかってくるようになっていた。
こんな俺だって職場では「一応」という飾り言葉はつくけれど、
『若手』の中ではイケてる方だって言われてんだぞ。
職場にやってくるアルバイトの女の子から手作りのお菓子をもらったり、
デートに誘ってください的なアプローチをもらったりするんだからな。
今となっては……時々だけど。
２０代のときのように、軽いノリでデートに誘えるほどの情熱はなくなってしまったし、
３０代になって、
『結婚』という二文字がさらにリアルになった今では、
簡単に女性と二人きりの関係にもっていくことに慎重になってしまっていた俺だった。
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