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やがて……
天高くあった太陽が山に沈むころになり
ようやくサトシーラは顔を上げた。
「………星光よ もう少し あなたの力を貸して」
大きな決意をしたように、サトシーラは立ち上がった。
その強い意志に呼応するように、星光が輝き始める。
「『黒の王子』の気配は、この世界から消えている。
封印は成功した……けれど、まだ 倒せてはいない
まずは そのことを母上に知らせなければ……」
星光の力を借り、わずかに残った『青の姫』の力で
光の集合体でしかなかった体を、自然のなかに存在する分子を集めて＜仮りの肉体＞を造りあげ、
サトシーラは その身体で城に戻ると、母である女王に戦いのすべてを報告した。
世界中が、『黒の王子』がいなくなったことへの歓喜に沸く。
しかし、『青の姫』のふるさとの国では、
尊い５人を失ったことに、多くの民たちが涙したのだった。
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「母上……
潔く死にきれず、この国の大事である『青の姫』の力をお返しできなかったこと、お詫び申し上げます」
「何を言うのです、サトシーラ
あなたは よく戦ってくれました。
封じただけとはいえ、『黒の王子』の恐怖から皆を救ったのは事実」
「…………」
「ですが……
平和になった世界で、あなたの花嫁姿を見るという夢は叶わないのですね」
「…………申し訳ありません」
「もう、行くのですか？」
「はい……
ブルーダイヤを失った私には、自ら探すことしか彼らに出会う方法はありません
いち早くここを出発し、その魂の行く先を追いたいのです」
「それでも、もう少し…
戦いの傷が癒えるまで、この城にとどまればよいでしょう」
「いいえ、母上。
この体は、本物ではなく仮初めの……いわば生霊のようなもの
そのようなものが城内にいれば、よくない噂もたちましょう」
「サトシーラ……」
「お許しください」
「それでは…… 旅立つ前に、この母にあなたを抱きしめさせて」
女王は玉座から降りて、サトシーラのもとへと歩み寄る。
そして、そっとその体を抱きしめた。
「こんなにも……あたたかいのに」
「母上」
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