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一瞬の隙をついて、
サトシーラの側にあった５色の星光が弾き飛ばされてしまう。
次の瞬間、結界を失ったその体に『黒の王子』の腕が伸ばされ、
あっという間に、サトシーラは黒の王子の結界の中に引きずりこまれてしまった。
(しまった……!!)
細い首を絞めあげられ、息苦しさにサトシーラがもがく。
「俺をここまで追い詰めたこと、褒めてやろう」
「く……うぅっ」
「『青の姫』……おとなしく我が花嫁となれ」
「ふざけ……たこと……言わないでっ」
「サトシーラ……
俺は、お前が『青の姫』だったことを喜んでやっているのだぞ？
この世界でエサではなく、殺されずに生きていける人間が お前でよかったと」
『黒の王子』のもう片方の手が、サトシーラの腹に触れた。
「……何をするっ！ あぁ… や、やめっ…」
「生娘でなければ、『青の姫』の力は失われる、だったか？」
「くぅ…ぅ…っ……」
「だが、それは………… 正確には違う。 そうだろう？」
「……！……」
問いかけられる内容に、まさかとサトシーラの青い瞳が『黒の王子』を見返す。
「『青の姫』は母から娘へ……その身を通して継承される
つまり……… 『青の姫』が胎内で子供に力を譲り渡すということ、だ」
「……な……ぜそれを……」
「やはりな。
力をなくすのは、純潔を失うからではなく
母となり子を宿すから
すなわち、お前の子は生まれながらにして『青の姫』の力を持っているということになる」
「だから なんだと言うの。
私を殺せば 力の後継者が生まれないと？
そんなことを考えているなら無駄よ
私が死んで、母からの血のつながりが切れたとしても、
『青の姫』の力は、次の器を探すだけなのだから！」
「そんなことにまで興味はないさ」
「え？」
「俺が欲しいのは、……俺の魔力と『青の姫』の力を宿した子」
「……な……？」
「きっと、巨大な魔力をもつ……
そう、もしかしたら＜魔王＞と呼ばれるような存在になるやしれぬ
そして、それは、お前が俺の子を孕めばよいだけだ
面白いと思わぬか？ サトシーラ
二人で＜魔王＞の親になり、世界が滅びゆく姿を眺めようぞ」
「！！」
血走った目に見つめられ、狂った野望を聞かされたサトシーラに、これまでにない戦慄が走った。
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