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「すまない、カズ。俺にもう少し力があれば……」
「あの場合は、どうしようもないですよ。
大ボスがいきなり登場で、単品勝負は無理ですって」
ジュンとカズの会話に、サトシーラが そういえばと顔を上げる。
「そのあと『黒の王子』はどうしたのっ？」
「…………今 ショウちゃんが 対峙してますよ」
「ショウひとりで！？」
「無理せず、足止めだけするように言ってきましたが、
貴女には近づけないとかなんとか 息巻いてたからなぁ
突っ走らないか心配ではありますが……」
「！！」
サトシーラが立ち上がり、その力を体にまとう。
「姫！」
そこへ向かおうとする手を ジュンが掴んで制した。
「離して！ジュン」
「あんたが行ってどうするんだっ！！」
「私だって戦える！」
「行かせるわけにはいかない！ 戦うのは俺たちだ！ 俺が行く！！」
「いやっ 離して！！ 行かせて！！
もうっ もう！！
あなたたちが傷ついていくのを見ているだけなんてできないっ」
「サトシーラ……」
サトシーラの必死の叫びに、ジュンの腕が緩みそうになる。
そのとき、緑色の大きな光が急激に増幅され、
その圧倒的な力に、サトシーラも驚き 動きを止めた。
「みんな伏せててよ―――ッ！！」
「！！」
マサキの声に、反射的に三人が地に臥せる。
全体に帯びた力は、大槍の槍頭に凝縮して集まり、
マサキは大きく振りかぶると、渾身の一撃を３６０度囲んだ敵の兵に向けて放った。
巨大な光にかき消されていく数えきれないほどの兵。
そして、後から訪れる爆音。
「……はぁ……はぁ……」
全身で荒い息をついて、雅紀は槍を杖代わりにして崩れそうな体をもちこたえている。
「サトちゃ……ん 落ち着いて」
「そんな力を遣うなんて 無茶なっ」
「大丈夫。
ほら、まだ 俺たち 戦えるよ？」
「マサ……キ」
「ね？」
よろよろと歩き 抱きついてきた雅紀を、サトシーラが必死に受け止めた。
「んふふ…… やっぱイイ匂いするなぁ 癒される〜」
「こんなときに何言ってるの……バカ」
「サトちゃん…… 絶対絶対 守ってあげるからね」
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