１５ ページ15
.
「あんなふうに、全部ひらがなで言われても説得力ねぇわ」
「カズのいじわる！ いちいちケツさわんなっ」
街に戻っても、整理するものも持ってくるもんもないと言い出して、
カズがおいらと一緒に残ることになった。
３人を見送って、丘の草原に二人で並んで座り込む。
「ねぇ、サトシ」
「ん？」
「なんで、今なんです？
体力的にも もう少し若いタイミングでも良さそうなもんでしょ？」
「おめぇも 30過ぎたおっさんだもんな……Σいてぇっ！」
「失礼な。
こんなカワイイ顔したワタシをつかまえて おっさんだなんて よく言えますね」
「何も殴ることねぇじゃんよー」
「ごまかしてないで、ちゃんと答えなさいよ」
「…………」
「それも言えないんですか？」
「…………。ちょっとばかし、タマが道草してたんだろよ」
「…………」
「次元のほうぼうに飛ばされちまったお前らの星光。
それらをタマが見つけるのに時間がかかっちまった
ただそれだけだよ」
「…………」
「なんだよ。 おいらの言葉が信じられないなら、タマに聞けばいいじゃん」
「俺、星光と会話できないんで確認のしようがないですよ(苦笑)
…………まぁ、そういうことにしておきましょう」
カズは日が昇りかけている東の空を見やる。
「タイミングなんて、どーでもいいことだしね」
「いーのかよっ」
なんだ、それ。
「結果的に５人揃ったのなら…それでいい。そうなんでしょう？」
「…………ぅん」
「………にしても(笑)
自分の星光を『タマ』って？
ネーミングセンス無さすぎですよ、おじさん。
猫の名前かっての(笑)」
「うっ/// うるせーわっ」
さあっと新しい太陽の光が地平線に広がっていく。
夜明けが来る。
一人じゃない、夜明けだ。
「……っ……」
すっかり弱くなっちゃったらしい、おいらの涙腺が刺激されてしまった。
「もう なに泣いてんですか」
「泣いてね…ぇ」
「相変わらず、嘘つくの下手くそだな〜 あんた(笑)」
「泣いてねぇっていってんだろ…！」
「…………。
あいつらが泣かしただのうるさいから、そーゆーことにしておいてやりますよ」
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 496人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
