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思いがけないショウの言葉に、おいらは固まってしまった。
「５００年前の……あの日。
俺たちの肉体が滅ぼされてから今日まで
ずっと、一人だったんでしょう？」
「…………」
「『黒の王子』を封印するために、４人の力のすべてを、
結果的に…………あなた一人を残してしまうことになってしまったんだよね」
「…………思い……出したの？」
「全部ではないけど。
この体が消滅する直前の記憶が強烈過ぎたみたいだ……」
「…………」
「あなたが泣いている顔を…… 繰り返し、夢に見ていたよ」
「…………」
「姫の涙を……拭いたかった、この手で……」
「……っ……」
パタパタと足に水滴が落ちていく。
自分が泣いていることに気づいたけど、拭うことも止めることもできなかった。
「サトシくん…？」
木の上にいるおいらの様子に気づいたショウが、心配そうに声をかけてくる。
「な……んでもない」
そう言っても、涙は全然止まらなかった。
「何、姫を泣かせてるんだよ ショウさん」
ふわりと後ろから伸びてきた手に目を覆われる。
「ジュン！？」
ショウの驚いた声が下から聞こえた。
いつのまにか、俺のいる木の上にジュンが登って来ていたらしい。
「おいら、姫じゃないもんっ」
「はいはい」
背中で、余裕で笑ってる気配がして、ちょっと悔しかった。
ぷぴーッ
「Σうわっ ばっちぃなっ」
鼻水をつけてやったら、慌てたように手が退いた。
「うひゃひゃ サトちゃんの勝ち〜」
「何の勝負なんだよ(笑)」
声が増えた。
「マサキ？ カズ？」
「俺たち全員……同じ夢を見てたらしいですね」
「そ…うなのか？」
「今はそばにいるから、
いつ泣いても、ちゃんと涙はふいてあげられるけどさぁ
やっぱ サトちゃんには 泣かないでいてほしいな」
「マサキ」
「俺の手をティッシュ代わりにされるのは、もうごめんだからな」
「ジュン」
………てか、こんだけ乗ったら、さ。
ミシミシ……
「Σあっ 危ないッ」
バキバキ バキィー！！
「折れたぁ―――っ！！」
だよな。
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