Blue Ocean ～青色王子に夢中～ (ページ40)

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とある新米探偵の誤算７ページ40

「あの…」

「な、なに？」

「ご用件はなんでしょう？」

もう一度繰り返された言葉に、ハッと自分を取り戻した。

「と、突然、失礼しました。私、こういうものでして…」

用意してきた仮の名刺を手渡す。

さっき見た綺麗な指がそれを受け取り、じっと文字を追う男の目。
クイッと黒縁メガネの端を持ち上げ、すっと立ち上がる。

「それで？」

「は、はい、あの…」

「えっのもっとさぁぁーーーーーん！！」

やけに明るい女の声が聞こえてきた。

(なんだ？)

「……ちょっと失礼します」

「は？」

くるりとターンするようにさっきの作業台に向くと、いじっていた模型を大事そうに抱え、すっと流れるように俺の横を通り過ぎていってしまった。

「え、ちょ・・ちょっと・・・」

カンカンカンカン。

さっさと階段を降りていく後姿を、慌てて追いかけた。

「榎本さん♪今日はシュークリーム持ってきました」

「そうですか。いつもありがとうございます」

「それで模型の方は？」

「出来ています。もう少し合わせておきたい部分があったのですが」

「いえいえ！もう十分です!!」

俺は階段の途中で足を止めて、二人の様子を見ていた。

(やけに親しいな)

すっかり俺の存在など無視で、女と会話する榎本の背中に無性に腹が立った。

(何だよ、彼女いるんじゃねぇか)

バタン！！
無遠慮にドアが開かれ、今度は男が入ってきた。

「榎本！何かわかったか？」

「芹沢さん、失礼ですよ。いきなり挨拶もなしで」

「何を言う青砥！チームメイトだろうが、堅いこと言うなよ～」

「都合いいときばっか…」

(チームメイト？)