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俺は走った。
とにかく走った。
昔だったら十倍は早く走れることにイライラしながらも、一生懸命。
はぁはぁと息も荒くなる。
くっそ、まじでわかんねー
転校一日目にして校舎内を覚えられるわけもなく、ただひたすら同じ道に思える廊下を走る気分は最悪だった。
おっ
横を見れば階段。
確かこの下が靴箱だったきもしなくもねーしっ...!
一か八かだ。
階段を駆け足でおりて、最後の何段かを一気に飛びこえると軽やかに着地。
ふぅ、と安心して前を向くと...
そこにはやっぱり立花がいた。
☆
「立花!!」
そうお前の名前を口にしたのはこれが初めてだって気づいてる?
何度も呼びたくて呼べなかった名前。
びっくりしたように振り返った立花の顔は逆光で陰になってた。
えんぴつで塗りつぶされたようなその顔はまるで立花の心を写しているみたいで。
早くしなきゃ。
そう思えた。
だから...
「俺は...俺はお前と仲良くなりたい。」
息をのむような音。
それでも見えない表情。
「正直、お前がどう思われようが、いじめられてようが俺には関係ない。」
だってそれは人それぞれ価値観は違うから。
原がお前を嫌おうが俺はお前が好き。
だから仲良くしたい。
それが普通じゃねーの?
「はぶられるとか関係ねーよ。
別にはぶられたらお前と一緒にいればいいだろ?
そんなに弱くねーし、俺。
だから。」
大きく一歩踏み出した。
それが正しいのかはわからないけど。
「俺と友達になってくれねー?」
鼓動がうるさい。
ほんとにうざいぐらい。
でも。
それでも。
こうやってお前と一緒に入れるのがうれしくて。
答えが期待しないものでもいいやって思えた。
すると急に。
「あ...」
そうつぶやく立花。
そしてはっとしたように立花は目を見開くとぶんぶんと首を振った。
「ご、ごめん!あまりにもその...緊張した?からなのかな、のどがからからで。」
緊張...した?
首が横に傾く。
俺が緊張するのは分かるけどなんでお前が?
そう聞きたかったけど、次の立花の一言でそんな疑問はどっかにふっとんだ。
「上杉君...私、友達になりたい。
ありがとう、本当にそんなこと言ってくれて。」
そういう君の顔にやっと明かりがあたって、目が涙でいっぱいになっているのに気付いたのはまた数秒後の話だった。
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ストロベリー - うわぁ……面白いですー!更新いつ頃出来そうですか?早くして欲しいです!って図々しくてごめんなさい。でも、それくらい楽しみです。上杉推しなんで本当に面白い!早く更新して下さい。前回の投稿で2018年?いま、2021年ですよ?ww手抜きすぎじゃない?笑 早くして、 (2021年4月22日 16時) (レス) id: dc18879ee4 (このIDを非表示/違反報告)
上杉奏(プロフ) - ゆゆさん» 嬉しいお言葉ありがとうございます!気に入ってもらえて嬉しい限りです…!!受験生なんで更新はマイペースだと思いますが自分なりに頑張ります!ありがとうございます! (2018年8月22日 8時) (レス) id: 7c3b5f2f13 (このIDを非表示/違反報告)
ゆゆ - この物語、すごく気に入ってます!これからも更新頑張って下さい! (2018年8月21日 10時) (レス) id: 3b4cec5f64 (このIDを非表示/違反報告)
上杉奏(プロフ) - 夢月さん» ありがとうございますw!引き込まれるとかめっちゃ嬉しいです!頑張って書いたかいがあったー!って気がするんでw応援とっても嬉しいです!頑張りますね〜! (2018年8月15日 22時) (レス) id: 7c3b5f2f13 (このIDを非表示/違反報告)
夢月 - 物語に引き込まれる〜って感じです!(笑)面白すぎる!更新頑張ってください! (2018年8月15日 16時) (レス) id: 67f263e71b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:上杉奏 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/aishou_kz
作成日時:2018年8月1日 11時