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たち
...ばな。
その名前を聞いた瞬間思わず息をのむ。
そして月城先生の目線の向こうには...
確かにあの子が窓際に座っていた。
どこか遠くを見ながら頬杖をついていた彼女は先生に呼ばれるとびくっと体を震わせ、「は、はい!」と声を上げる。
「空いてます...けど。」
みんなの注目を浴びていることに気付いたのか、少し小さい声で立花はそうつぶやくと立花は下を向く。
「よし!じゃあ、上杉君は立花さんの隣ってことで!そこに座ってくれる?」
そう元気よく言うと月城先生は自分の日誌に俺の席を書きくわえていった。
...マジか。
開始早々そうそう運良すぎね?
ってそういや、俺には神が味方してんだった。
そりゃ運いいわ。
心の中で少し、ワカタケを見直しながら俺はゆっくりと足を踏み出した。
ドキドキとうるさい鼓動をおさえ、机と机の間をすり抜けて行く。
そしてやっと自分の席に着くと、椅子を引きごく自然な感じでちらっと横を見る。
そこにはやっぱり俺を救ってくれたあの子が座ってて。
この前と同じふわっとした甘い香りが俺の鼻腔をくすぐる。
やっぱり。
この子が俺を救ってくれたやつだ。
そう確信した。
そして。
俺が横を向いた時。
まるで計ったかのように。
君も横を向いて。
君の大きな、誰よりも深い茶色の目に俺の目が吸い込まれそうになって。
たった。
でも確かに2秒間。
俺は君を独り占めすることができたのだった。
なぜかわかんないけど、どれだけ早く走った時よりも心臓は音を立てていて。
自然とうれしくなって。
幸せになって。
衝動的に。
思わず笑みとともにこんな言葉が俺の唇からこぼれおちた。
「よろしくな、立花。」
今思うと俺はこの時本能に身を任せて本当に正解だったと思う。
だってこの時君はびっくりしたように眼を丸くしたけどそれと同時にぷっと吹き出し、ひまわりのような笑みを浮かべてこう言ったから。
「あはは、よろしくね。」
このときの笑顔は本当にかわいくて。
愛らしくて、純粋で。
うわ、って思った。
んで。
やっと自覚したんだ。
俺、こいつのことすげー好きじゃん、って。
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ストロベリー - うわぁ……面白いですー!更新いつ頃出来そうですか?早くして欲しいです!って図々しくてごめんなさい。でも、それくらい楽しみです。上杉推しなんで本当に面白い!早く更新して下さい。前回の投稿で2018年?いま、2021年ですよ?ww手抜きすぎじゃない?笑 早くして、 (2021年4月22日 16時) (レス) id: dc18879ee4 (このIDを非表示/違反報告)
上杉奏(プロフ) - ゆゆさん» 嬉しいお言葉ありがとうございます!気に入ってもらえて嬉しい限りです…!!受験生なんで更新はマイペースだと思いますが自分なりに頑張ります!ありがとうございます! (2018年8月22日 8時) (レス) id: 7c3b5f2f13 (このIDを非表示/違反報告)
ゆゆ - この物語、すごく気に入ってます!これからも更新頑張って下さい! (2018年8月21日 10時) (レス) id: 3b4cec5f64 (このIDを非表示/違反報告)
上杉奏(プロフ) - 夢月さん» ありがとうございますw!引き込まれるとかめっちゃ嬉しいです!頑張って書いたかいがあったー!って気がするんでw応援とっても嬉しいです!頑張りますね〜! (2018年8月15日 22時) (レス) id: 7c3b5f2f13 (このIDを非表示/違反報告)
夢月 - 物語に引き込まれる〜って感じです!(笑)面白すぎる!更新頑張ってください! (2018年8月15日 16時) (レス) id: 67f263e71b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:上杉奏 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/aishou_kz
作成日時:2018年8月1日 11時