Otto ページ10
しかしそんな贅沢を言う前にまずは生活の基盤を立てなければお話にならない。味付け、塩が一番優先かな。
まずは今の段階に慣れることが第一優先事項だ。
夕飯を食べ終え、大体の人が寝床に戻っていく。
まぁ、スマホもないしやることないからそりゃそうだよね。
私は明確に寝床を指示された訳でもないから、杠の作業部屋にお世話になることにした。
ちなみに杠は寝床があるようで、そっちに行った。
流石にそこにまでお邪魔させていただくのは図々しいからね、そのうち自分で作るさ。
藁のしかれた床に横たわると、ふわりといい匂いがした。
この下に更に木の葉を敷いているのか、少しだけ木の匂いもした。
暫く目を瞑ったり、ありきたりに羊を数えても、どうやらアドレナリンがどばどば出ているようでなかなか寝付けない。
それもそうだろう。
一日で石化から復活して、友人に再開して、与えられた仕事をして、かなり退化した文明のご飯を食べてそれで、はいおやすみなさいとはいかない。
そんなの、たとえ心臓に毛が生えていても容易くできることではないだろう。
さり、と藁の簾のようなものを少し避けて、作業部屋の入口の前に座る。暇つぶしに
視線を上げれば、普段はお目にかかれないほどの満天の星空が広がっていた。
「わあ……」
人類が石化して3700年。文明を作り発展させる存在はもう物言わぬ石像となり、むしろ衰退していく一方だった。
ビルはおろか街灯のひとつもなくなってしまった今は、その細かな星の輝きを邪魔するものは一切ない。
悠久のはるか昔、気が遠くなるほどうんと前。石化していた年よりももっと遥かに長い年月から、ずっとこの空に、宇宙に存在していた星達。
それらは互いに似て非なるもので、ただの一つとして同じものは無い。
二十一世紀ではもうほとんど見る機会がなくなってしまった星達は、今めいいっぱいそれぞれの存在を主張している。
ここまで綺麗に見れれば、流星群やオーロラを期待してしまうのも無理ないのではないか……
オーロラは、流石に長野だとかフィンランドだとかに行かなければ見れないし仕方ない。
でもこの星だけでもなんてロマン溢れる光景だろう。
幼少期から星を見ることが大好きだった私にとっては垂涎ものだ。
星の海に飲まれて、うっとりとその一つ一つの色を見ていく。
そして次第にあれは乙女座だとか、獅子座だとか、六分儀座なんてのもあったな、と星座を探し始めた。
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＿＿＿＿＿(プロフ) - 米さん» 米さん初めまして！コメントありがとうございます。文章が硬くなってしまうのが悩みでしたので、そのように楽しんでいただけたのなら幸いです！相変わらずの亀更新ですが、米さん含め、皆様に楽しんでいただけますよう頑張ります。 (2020年4月13日 21時) (
レス) id: 0c0dd0f299 (このIDを非表示/違反報告)
米 - 文章が読んでいて楽しくて、いつも楽しみにしています。これからも陰ながら応援しております。 (2020年4月13日 18時) (レス) id: 2a29b7989a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：____(かせん) | 作成日時：2020年3月26日 12時
