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Trentotto ページ40

彼は何度か校内で見かけたことはあるが、直接的な関わりはない。
会話も交わしたことがない。

言うて彼の同級生が私の後輩だったとかそんなんだ。
杠とも交流はあるが、話に聞くだけで会ったことはない。

友達の友達か、後輩または先輩の友達。
それくらいは離れていて、彼との会話には出てきそうにもないはずなのだ、私は。

だから彼が私の名前を知っているわけがない。
ないはずなのだけれど……

「あ゙ー、周りの奴がな……」

まあ、と驚きの声が零れる。

まさか学校の人の噂云々に疎い彼の耳にまで届くとは……。
百歩、いや千歩譲って杠が話したとしても、そこまで覚えていえもらえるとは思わなかった。

「ふむふむ……ま、それは置いておいて。あの……ラーメンを食べたいのですが、まだ余りは……?」
「ククク、この状況でそれを気にするたァ図太ぇ神経してやがるじゃねぇか」

どんな内容が話されていたのかは気になるところではあるけれど、一旦疑問が解決した私はもう次の話題に移っていた。

ずっと辺りにたちこめるいい匂い。

鼻腔をくすぐるそれは唾液を口から溢れんばかりに分泌させた。
ぐぅ、と先程のたしなめたはずの腹が再び訴えを起こす。

ほらよ、とラーメンと具材の入った丼を渡される。
まだ湯気が立っていてほかほかだ。

セイバー(仮)に縄を解いてもらって、監視されながら食べる。

「わぁい!久しぶりのマトモな食事ー!いただきます」

お預けを食らっていた久方ぶりの現代食に貪るように食らいつく。ずるる、と勢いよく麺を啜り噛み締める。
懐かしいこの匂い!何ラーメンだろ、豚骨かな?


んん……?

んんん……


「麺はボソボソ甘すぎず苦すぎる味が口の中に広がり、サラサラ過ぎなくて沼のように後に残るにちゃにちゃとした食感がうごぁぼば……」

ま、マトモじゃねぇ……

ガク、と項垂れる私を見て、石神くんは腹を抱えて爆笑していた。

「カカカ、まぁ旧現代人にはちと合わねぇだろうな」
「や、薬膳と思えばいける……?」

一ヶ月程は山菜や肉に塩というシンプルな食事をしていたとはいえ、やはり舌が肥えてる旧現代人には合わなかった。

食べられなくはないが、好んで食べに行こうとは思わない。
が、自分から希望したからには完食するのが礼儀だ。

今食べてるのは山菜を練りこんだ薬膳。
そう、健康的な食べ物。
だから多少味が不思議なのは仕方がない。

一緒に入っている煮卵や肉で味を誤魔化しながら、自分に言い聞かせて食べる。

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_____(プロフ) - 米さん» 米さん初めまして!コメントありがとうございます。文章が硬くなってしまうのが悩みでしたので、そのように楽しんでいただけたのなら幸いです!相変わらずの亀更新ですが、米さん含め、皆様に楽しんでいただけますよう頑張ります。 (2020年4月13日 21時) (レス) id: 0c0dd0f299 (このIDを非表示/違反報告)
- 文章が読んでいて楽しくて、いつも楽しみにしています。これからも陰ながら応援しております。 (2020年4月13日 18時) (レス) id: 2a29b7989a (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:____(かせん) | 作成日時:2020年3月26日 12時

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