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Trentasei ページ38

自惚れている、なんてのは誰よりも分かっている。
でも、どこか私と先輩のこの捜索の旅と似ていると思った。

どこにいるかも分からない、誰かを探す旅。
その時間はお世辞にも楽とは言えなかった。

どの道を進めばいいのかも分からないから、逆にどの道も正解に思えてしまう。

でもわずかな手がかりからどんどん、自分の道を探して進んでいく。

ゼロから小さな一歩を踏み出す。

振り返ればそんな大層なものではなかったと思うけれど、やっぱりどこか自分たちの事と思ってしまう。
バーナム効果があるのかもしれない。



ともかく、先輩がここにいる間は私も護衛としているべきなのだろう。
と、戻るのが面倒というのを隠すための口実を誰に言う訳でもなく決める。

ラーメン、いい匂いだな。

ぽへ〜、と小学生並みの感想を心の中で述べながら枝の上から集落の人達を観察する。

しっかしあのダイコン頭、どうやってやってるんだろ。
ワックスとかジェルとかで固めるにしてもこの時代じゃそんなのないし……

そもそも、後輩から聞いた話ではそんなのを気にするよりも科学一筋だと聞いている。

ならまさかの地毛?
バイヤー……

「あ゙……?」

人類の神秘(笑)に感激しながら相変わらず観察をしていると件のダイコン、基、石神千空がこちらを振り返った。

ばちん

そんな豪快な音がなりそうなほどばっちりと目が合った。

深紅の瞳。
赤色矮星よりも深く、鋭い色。
それでいて、柘榴のような瑞々しさ。

綺麗だ

素直に、そう思った。

そして、ああ見つかっちゃったな、どうしよう。なんてどこか他人事のように考える。
本当は逃げなきゃいけないのに、どうしてかその瞳から目を離せなかった。

「千空?どうしたのだ?」

セイバー(仮)がこちらを振り返った石神くんに気がついた。彼女はその視線の先を辿って、やがてこちらを見た。

そしてギラリと獲物を狩る獣のように鋭い目付きに変わった。

「あ、やべ」

ようやっと口から現状に対する一番の感想が出てきた。

咄嗟に立ち上がって後ろに飛ぼうとしたのも束の間、気付いた時にはセイバー(仮)の端麗な顔が視界いっぱいに広がっていた。

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_____(プロフ) - 米さん» 米さん初めまして!コメントありがとうございます。文章が硬くなってしまうのが悩みでしたので、そのように楽しんでいただけたのなら幸いです!相変わらずの亀更新ですが、米さん含め、皆様に楽しんでいただけますよう頑張ります。 (2020年4月13日 21時) (レス) id: 0c0dd0f299 (このIDを非表示/違反報告)
- 文章が読んでいて楽しくて、いつも楽しみにしています。これからも陰ながら応援しております。 (2020年4月13日 18時) (レス) id: 2a29b7989a (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:____(かせん) | 作成日時:2020年3月26日 12時

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