Ventisei ページ28
いやっふぅー!と叫び真っ裸になる。
おっと安心して欲しい。ちゃんと男湯女湯は分けてある。
流石に私もこの状況でも羞恥心というものはあるし、常識もちゃんと持っている。
「あ゙〜きもちぃ〜」
「ゴイスー久しぶりだね〜」
疲れた体に丁度良い温度の湯が沁みる。
もう疲れのあまりに、おっさんみたいな声が出る。
あ、いやそれはいつもか。
昼頃から簪代わりに使っていた鹿の角を再び出して、団子状に髪を束ねる。
肩までじっくり浸かれば、いつかの家の風呂を思い出した。もちろん、温泉ではなかったけれど。
じわりと出てきたホームシックを振り払うようにして、何か話題を引っ張り出す。
「あ、そういえばシャンプーあるんですけど。使いますか?」
「え!ジーマーで!?」
「って言っても泡立ちませんけどね」
見事な食いつきに苦笑しながらも返す。確かにシャンプーと聞けば泡が立つものと考えてしまうだろう。
しかし残念ながらそんなのはこの時代には石鹸くらいしかないのだ。
「なーんだ」と少し落胆しつつも、是非それをやって欲しいと強請る先輩。彼も余程髪、頭皮をさっぱりさせたいのだろう。
「私もやりたいので、やり方だけ説明しますね〜」
「りょ〜」
革布を細かく編んでカゴのようなおわん型にしたものに、更に革布を張った簡易桶を二つ自分のカバンから取り出す。
近くに置いておいてよかった。もしなかったら全裸で取りに行くとこだった危ない危ない。
それの片方に塩を少し入れて、両方を先輩に渡す。
幸い大きな革布のカーテン一枚隔てたところに彼はいるので、縁に乗せればすぐに渡せる。便利ですな。
「ありがと〜」
先輩が受け取ったのを確認して、やり方を説明する。
「まず塩の入っている桶にお湯を入れて塩を溶かしておいてください。十分温かいのですぐに溶けるとは思いますが、粒がなくなるまで溶けるように時折かき混ぜてくださいね〜。
その間に頭をお湯で温めて血行を良くしておきましょう。指の腹で軽く押す程度のマッサージをすると尚気持ちいいでしょう〜」
「わ、ゴイスーきもち〜」
布の向こうから聞こえてくる無邪気な声に笑みがこぼれる。
「そろそろ塩が溶けましたかね。そしたらそれを頭皮に馴染ませるようにかけていきます。ざばっと一気にやるより、最初は少しづつの方がいいと思います」
「はぁい」
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_____(プロフ) - 米さん» 米さん初めまして!コメントありがとうございます。文章が硬くなってしまうのが悩みでしたので、そのように楽しんでいただけたのなら幸いです!相変わらずの亀更新ですが、米さん含め、皆様に楽しんでいただけますよう頑張ります。 (2020年4月13日 21時) (レス) id: 0c0dd0f299 (このIDを非表示/違反報告)
米 - 文章が読んでいて楽しくて、いつも楽しみにしています。これからも陰ながら応援しております。 (2020年4月13日 18時) (レス) id: 2a29b7989a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:____(かせん) | 作成日時:2020年3月26日 12時