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title 40 ページ6

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突き立てた氷刃をも飲み込む勢いで、彼女の断裂した細胞が次々尋常でない速さでと集合、再生を繰り返す。

スティーブンは仕事柄、断面図やらの気分を悪くする画を何度も何度も見てきたが、再生の過程をこんな近くで見たことがなかった。BB戦では、ここまで近くはなかった。

恐らく一般人なら耐えられないであろう画に、スティーブンも若干引いた。
スプラッタにある程度興味を持ち、ある程度嗜む傾向がある性 .癖ならば堪らないだろうが、実際のところ気持ちが悪かった。


頑なに傷を負った後の自分の姿を隠していた理由がわかった。
以前、「セイレーンは決して綺麗な種族ではない。」と、辛そうに言っていた事情がわかった。
血の契約を拒んでいた、寂しがり屋の彼女の
気持ちが、今きちんと理解できた。

きっと、嫌われたくない一心だったのだ。誰でも自分がそのようになれば、恐怖するだろうし、何より相手を恨むだろう。何故こんな醜い身体にしたんだ、と。


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痛みで気を失っていたAは、見慣れた水槽の中で目を覚ました。

はっと気付き、自分の尾びれを見ると、スティーブンの氷で引き裂かれた痕が、真っ直ぐ下から上にかけて紅く残っていた。

途端に、彼に再生を見られたかもしれないという不安と、今まで傷痕と無縁だった自分の再生能力が、彼の氷には敵わずに生まれて初めての傷痕を得た喜びが、彼女の心の中に湧いた。

紅く伸びた一本線をなぞると、スティーブンの顔を思い出す。彼はこんな醜い自分を知っても、変わらず受け入れてくれるのだろうか。優しく笑ってくれるのだろうか。


ガチャ、と水槽部屋のドアが開く音がした。
スティーブンである。どういう言葉をかけられるのか、はたまた何も言われずに追い出されるのか。

「A」
硬質な声が名前を呼ぶ。冷たいとも、暖かいともとれない声。

「スティーブン、貴方は私の汚い部分を見てしまったわ。私は醜いでしょう?
ずっと近くに居たいなんて、そんな我儘は言わないわ。
私は醜かったでしょう?治癒能力がどれほどおぞましいか、わかったでしょう。」

分厚いガラス越しの距離が、スティーブンとAの生物学的な距離も物語る。足のあるヒューマーと、足の無いセイレーンの距離。

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9t9 - 血界戦線大好きのスティーブン推しで貴方の作品を見つけました。本当にこの作品が大好きです!ツェッドさんとか出てきたら絡みがどうなるのかとかも楽しみだし単純にこの先の物語が楽しみでなりません!!更新が止まっていらっしゃるようですがずっと待ってます! (2022年10月19日 16時) (レス) @page38 id: f8f6fc2c71 (このIDを非表示/違反報告)
ひゃぼ(プロフ) - いつまでもお待ちしております...!!! (2021年8月28日 1時) (レス) id: 4c0d27bb14 (このIDを非表示/違反報告)
アリア - 初コメ失礼します。一人称は使い分ける方が良いと思います。ちょっとしたことですがこれだけで表現の幅がだいぶ違うと思うからです (2017年10月30日 19時) (レス) id: 5884d91fd1 (このIDを非表示/違反報告)
Rin(プロフ) - メヌエットさん» コメントありがとうございます。面白いと感じて頂けて嬉しいです! (2017年10月30日 1時) (レス) id: 409b7a99fe (このIDを非表示/違反報告)
Rin(プロフ) - nana☆さん» アンケート回答ありがとうございます!更新頑張りますね。 (2017年10月30日 1時) (レス) id: 409b7a99fe (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:Rin | 作成日時:2017年10月23日 8時

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