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「あまり彼女を責めないでくれ。」
低い男の、スティーブンの声が投げられる。彼の赤銅は鋭く向けられていた。
「俺はアンタらの契約とやらを知らねえが、それがトンプソンのヤローと同じなら話は別だ。責めてるわけじゃねえ、今俺はアンタらを信用出来ねぇんだ。」
「....まあ、情報が少なければそうなるか。その様子だと、チェインも、クラウスも疑ってるんだろう。あと、少年も。」
「なんで僕はついでみたいになってんすか。」
レオナルドは不機嫌を露骨に顔で表現し、その顔に反応したAが噴き出した。珍しい。相当笑いのツボが浅いのか、はたまた笑い所が可笑しいのか。
スティーブンは尚も肩口で小刻みに震えるAを一瞥し、険しい顔の彼らに視線を戻した。
「ザップ、僕を担ぎ出してくれたのは君だってな。その時の僕はどうだった?」
「アンタはあの時、確かに土手っ腹に風穴開けて確実に致死量の血ィ流してました。」
「へぇ、通気性抜群だな。血凍道で塞いだはずだけど、漏れて来たのか。」
スティーブンは病衣に覆われた腹部を撫で摩る。が、凍らせた時に触れた内臓の触覚を思い出した。
ぞわりと背中を不快感が駆け上がり、青い顔をして直ぐさま手を引っ込める。
「気分が優れないの?」と、心配するA
への返事がわりに彼女の頭を撫でた。
「...もうその時にスティーブンさんの意識は無かったです。けど、Aさんが、あの、キ、キスをですね....」
何やらドギマギと恥ずかしげにレオナルドが言う。ザップは「だっからドーテー君は。 」とため息混じりに呟く。
「番頭を水ン中に突っ込んで、チューしやがったんだよ、Aは。」
とんだショーだったぜ。と、続けるザップに、今まで黙っていたクラウスが勢いよく椅子から立ち上がる。ガタン!と椅子は大きな音を鳴らしてひっくり返ってしまった。
「まさか、A殿、貴女はその時の彼に接吻をしたのか...⁉」
「そっすよ旦那。目の前でブッチューっと。」
隣のレオナルドを揶揄うザップに、クラウスは硬質な声を出した。
「ザップ、笑い事ではない。
スティーブンは、自身の血で敵諸共全てを凍らせるエスメラルダの使い手だ。
血法使いの君なら分かるだろう。
血濡れの口内に直接触れる事が如何に危険であるか。」
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9t9 - 血界戦線大好きのスティーブン推しで貴方の作品を見つけました。本当にこの作品が大好きです!ツェッドさんとか出てきたら絡みがどうなるのかとかも楽しみだし単純にこの先の物語が楽しみでなりません!!更新が止まっていらっしゃるようですがずっと待ってます! (2022年10月19日 16時) (レス) @page38 id: f8f6fc2c71 (このIDを非表示/違反報告)
ひゃぼ(プロフ) - いつまでもお待ちしております...!!! (2021年8月28日 1時) (レス) id: 4c0d27bb14 (このIDを非表示/違反報告)
アリア - 初コメ失礼します。一人称は使い分ける方が良いと思います。ちょっとしたことですがこれだけで表現の幅がだいぶ違うと思うからです (2017年10月30日 19時) (レス) id: 5884d91fd1 (このIDを非表示/違反報告)
Rin(プロフ) - メヌエットさん» コメントありがとうございます。面白いと感じて頂けて嬉しいです! (2017年10月30日 1時) (レス) id: 409b7a99fe (このIDを非表示/違反報告)
Rin(プロフ) - nana☆さん» アンケート回答ありがとうございます!更新頑張りますね。 (2017年10月30日 1時) (レス) id: 409b7a99fe (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:Rin | 作成日時:2017年10月23日 8時