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神々の義眼により
悲鳴さえも十字架と化し、硬い地面の上に落ちる。
レオナルドは血界の眷属との闘いが、こんなにも凄惨な物だとは思ってもみなかった。
いや、想像はしていたし、永遠の虚で見た夥しい紅に背筋が凍る思いもした。しかし、実際の闘いとは違う。そこら一帯に広がる干からびた死体と、天井にまで飛び散った血に思わず吐き気を催した。
「姐さん!!」
レオナルドの隣にいたザップが大声を出して車両から飛び出し、その後をレオナルドが後を追うと、半壊した壁にK.Kを見つけた。グッタリとしたK.Kが頭から血を流していて、左脚があらぬ方向を向いている。
側にいたクラウスが、彼女を抱えて外に出そうとしていた。
「...番頭は...?」
ザップがぐるりと見渡しても、鉄屑の山しか見えない。返事をしてくれ、とザップが大声で呼びかけるも、返って来るのは反響した自分の声だけ。
しかし、義眼はそれを捉えていた。
「...ザップさん!!あそこの瓦礫に、スティーブンさんが!!」
レオナルドの指差す先は瓦礫の山。
幻想的な光を出しながらレオナルドはその山に走って行き、瓦礫と鉄屑を手が傷つくのも厭わず掘り始めた。
「スティーブンさん!スティーブンさん!」と尖った鉄片を搔きわける。
「どいてろ陰. 毛!!」
レオナルドの後ろからザップの血法がのび、次々と瓦礫の山が無くなっていくと、見覚えのある革靴が姿を現した。
「番頭!!」「スティーブンさん!!」
スーツは所々破れ、ブルーシャツは濃く染まり、腹を大きく抉られたスティーブンが、ヒューヒュー か細い息で僅かに余喘を保っていた。薄く開く瞳は既に明瞭ではなく、唇は絶えず流れ出る血で紅く色づいている。
「スティーブンさん!!レオナルドです!!わかりますか!?」
レオナルドが握ったスティーブンの掌は、指が2本足りなかった。
レオナルドの隣で、希釈をしていたチェインが、頑張って、と泣きながら声を掛けている。どうしよう、どうしよう、と手負いのスティーブンを前にレオナルドとチェインが狼狽えた。
その時、バン、と強く2人の背中をザップが叩いた。
「陰. 毛頭!犬女!冷静になれ!
俺が番頭を担いで外に出る。犬女はAに知らせに行け!陰. 毛頭は医者を呼べ!!早く!!」
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9t9 - 血界戦線大好きのスティーブン推しで貴方の作品を見つけました。本当にこの作品が大好きです!ツェッドさんとか出てきたら絡みがどうなるのかとかも楽しみだし単純にこの先の物語が楽しみでなりません!!更新が止まっていらっしゃるようですがずっと待ってます! (2022年10月19日 16時) (レス) @page38 id: f8f6fc2c71 (このIDを非表示/違反報告)
ひゃぼ(プロフ) - いつまでもお待ちしております...!!! (2021年8月28日 1時) (レス) id: 4c0d27bb14 (このIDを非表示/違反報告)
アリア - 初コメ失礼します。一人称は使い分ける方が良いと思います。ちょっとしたことですがこれだけで表現の幅がだいぶ違うと思うからです (2017年10月30日 19時) (レス) id: 5884d91fd1 (このIDを非表示/違反報告)
Rin(プロフ) - メヌエットさん» コメントありがとうございます。面白いと感じて頂けて嬉しいです! (2017年10月30日 1時) (レス) id: 409b7a99fe (このIDを非表示/違反報告)
Rin(プロフ) - nana☆さん» アンケート回答ありがとうございます!更新頑張りますね。 (2017年10月30日 1時) (レス) id: 409b7a99fe (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:Rin | 作成日時:2017年10月23日 8時