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そっと手を重ねれば、そこにあった絨毯の上へと誘われ、腰を下ろすと同時にフワリと浮かんだ。

「うそ…」

「信じてくれた?」

「うん、え、でも…こんなことって」

「でもじゃない。この目で見てるのが真実だよ」

「ほんとに飛んでるの?」

「そう見えない?」

「…みえる!すっごく綺麗!」


一面の夜景。
うちのマンションからじゃ見れないような光の渦。
そして空には大きく静かに輝く月


部屋着だったから少し寒くて体を小さくすると、何も言わずにジャケットをかけてくれた。

ゆっくり空の旅を堪能して部屋に戻ってくると、私の前にうやうやしく跪き頭を下げた。


「さて、じゃあそろそろ3つの願いを。ご主人さま?」

「何でもいいの?」

「例外はいくつかあるけど、まあ言ってみて」

「じゃあ、私をとびっきりの美人にしてほしい…。1日でもいいの。シンデレラみたいに。できる?」

「そんなのお安い御用!だけど、なんで?今のままで十分綺麗なのに」

「ううん、あの子よりもっと美人に」

「あの子?」

「…私、彼氏に浮気されて、いや、私が浮気相手だったのかな?あは。一緒にいるとこ見ちゃって、相手の子可愛かった…私なんかより全然。完敗!」

もう出ないと思ってた涙が出た。

あんなに泣いたのにまだ悲しいとか、自分が情けない。

の→←ち



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作成日時:2019年5月30日 19時

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