や ページ6
そっと手を重ねれば、そこにあった絨毯の上へと誘われ、腰を下ろすと同時にフワリと浮かんだ。
「うそ…」
「信じてくれた?」
「うん、え、でも…こんなことって」
「でもじゃない。この目で見てるのが真実だよ」
「ほんとに飛んでるの?」
「そう見えない?」
「…みえる!すっごく綺麗!」
一面の夜景。
うちのマンションからじゃ見れないような光の渦。
そして空には大きく静かに輝く月
部屋着だったから少し寒くて体を小さくすると、何も言わずにジャケットをかけてくれた。
ゆっくり空の旅を堪能して部屋に戻ってくると、私の前にうやうやしく跪き頭を下げた。
「さて、じゃあそろそろ3つの願いを。ご主人さま?」
「何でもいいの?」
「例外はいくつかあるけど、まあ言ってみて」
「じゃあ、私をとびっきりの美人にしてほしい…。1日でもいいの。シンデレラみたいに。できる?」
「そんなのお安い御用!だけど、なんで?今のままで十分綺麗なのに」
「ううん、あの子よりもっと美人に」
「あの子?」
「…私、彼氏に浮気されて、いや、私が浮気相手だったのかな?あは。一緒にいるとこ見ちゃって、相手の子可愛かった…私なんかより全然。完敗!」
もう出ないと思ってた涙が出た。
あんなに泣いたのにまだ悲しいとか、自分が情けない。
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作成日時:2019年5月30日 19時