youth 21 ページ21
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なんとなくで道を歩いていると、灯りがついていないところで男女が立っているのが見えた。
見なきゃよかった、と瞬時に思った。
そこにいたのは、紛れもなく慎太郎と慎太郎の彼女だったから。
彼女は泣いていて、慎太郎はそれを慰めている様子。
かと思えば、数秒後に彼女はニコリと笑って、慎太郎も優しい笑顔で彼女を見た。
「...痛い」
胸が痛くなって、その場を立ち去った。
...まっすぐ帰ればよかった。こんなの、辛すぎるよ。
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「慎太郎のばか、...」
歩いているのも辛くなって、近くにあった公園のブランコに座る。
抑えきれなくなった涙が、とめどなく溢れ出す。
今考えるとただの自惚れでしかないけど、慎太郎の1番近くにいるのは私だと思ってた。
泣いている時に助けてくれるのも
学校をサボって一緒に四つ葉のクローバーを探すのも
自転車の後ろに乗せて走るのも
慎太郎の特別は、全部全部私がいい。
「もう、遅い...」
今頃気付いたって、慎太郎にはもう届かない。
届いてはいけない。
行き場のない思いは、涙となって私の心に縋る。
樹「...A、ちゃん？」
「た、なか、せんぱ、い...」
樹「何やってんの、こんなとこで」
私はどうしようもない悲しみに暮れているのに、最悪。
なんでこんな時に会っちゃうかな。
しかも、なんで話しかけてくるの、
「...別に、」
樹「別にって、なんで泣いてんの」
「ほっといて、あなたには関係ない」
その場を立ち去ろうと思って、カバンを持って立ち上がった。
割と素早く、動けたと思ったんだけどな。
樹「...好きな女が泣いてんのに、ほっとけるかよ」
全く意味が、わからない。
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作者名：姫野
| 作成日時：2022年9月3日 22時
